日本各地に自生し、生薬や和菓子の原料で親しまれてきたヨモギがヒットしそうだ。スイーツや酒類、蒸気で体を温める「ヨモギ蒸し」など用途が幅広く、高まる需要に供給が追い付いていない。国内では自生ヨモギの採取に加え、休耕田での栽培も始まった。取引単価も上昇しており、供給体制が整えば、国産の伸びしろは大きい。
ヨモギはキク科の多年草で、日本各地に自生する。香りと鮮やかな緑色が特徴で、食用では粉状にして、草餅や草団子などの和菓子の材料として使われてきたが、近年の需要はそれにとどまらない。健康食品の製造販売などを手がける越後薬草(新潟県上越市)が扱うヨモギ商品は、酵素エキスや、ジン・スピリッツなどの酒類、入浴剤などさまざまだ。ヨモギ茶は従来ティーバッグだけだったが、5月にペットボトル「よもぎ茶ん」(350ミリリットル、162円)を発売。手軽に味わえると好評で、担当者は「健康・美容志向の高まりからヨモギ製品の需要は非常に強い」とみる。
パンやスイーツ用の引き合いも強い。ヨモギの製菓材料などを製造・販売する上野忠(大阪市)によるとヨモギの需要は増加傾向で、2024年度の同社の出荷量は直近5年で最多。しかし、国産の生産は減少傾向で、国内で主に使われるのは中国産だ。同社は、製品加工に必要な量を確保するため、中国の自社工場付近でヨモギを栽培する。上野晃富史相談役は「国産は安定的な採り手と収量の確保が課題」と指摘する。
各地のヨモギの特徴を明らかにして生産拡大につなげようと、千葉大学環境健康フィールド科学センターは全国170カ所以上から採取したヨモギを栽培する。優良なものを選抜・育種し、全国40カ所以上の産地に試験栽培・生産を委託する。種類によって葉の形や香り、機能性など違いがあり、例えば新潟・滋賀県などで取れるヨモギは葉が大きくて柔らかく、裏に毛がたくさん生えモグサの加工に向く。沖縄県では、苦味が少なく爽やかな香りが特徴の「ニシヨモギ」が沖縄そばなどの料理に使われている。
渡辺均教授は「生産者と地元の加工業者や菓子メーカーなどが組むことで地域ブランド化でき、農家の副収入の一つになり得る」と展望。土づくりを行った上で耕作放棄地などを活用することが有望とみる。水耕栽培などを活用した安定的な供給システムを築くことも必要だと分析する。
出典:日本農業新聞

