出典:マイナビ農業
ツケウリとも呼ばれるシロウリの一種で、青縞模様の果皮とみずみずしい食感が特徴です。江戸時代から、現在の成田市や佐倉市近郊で栽培され、鉄砲漬けの材料として重宝されてきました。浅漬けや和え物など現代の食卓でも活躍し、家庭菜園でも育てやすいことから、いま改めて注目されているハグラウリ。
ハグラウリ(はぐら瓜)は、ウリ科キュウリ属のシロウリ(白瓜)の一種で、千葉県を中心に栽培されている地方野菜です。大正時代にシロウリとマクワウリが自然交雑して生まれたとされ、果肉が柔らかく、歯が弱い人でも食べやすいことからこの名が付けられました。
皮の色によって青皮品種と白皮品種に分かれますが、現在流通しているほとんどは長さ20〜30センチほどで縦じまのある青皮品種です。千葉県ではブランド野菜として生産され、成田地域の名物「瓜の鉄砲漬」に利用されます。鉄砲漬は、穴をあけた瓜を砲筒、中に詰めた青唐辛子を弾に見立てた漬物で、成田山新勝寺の土産物としても有名です。
シロウリは大きく、シロウリ群(アサウリ群)、カタウリ群、シマウリ群に分けられ、ハグラウリはシロウリ群に分類されます。ハグラウリのほか、東京大シロウリや桂ウリもシロウリ群を代表する品種で、いずれも漬物(奈良漬け、みそ漬け、浅漬け)の材料として利用されます。
ハグラウリは、その名が「歯がぐらぐらでも食べられる」ことに由来するように、シロウリの中でも特に果肉が柔らかいことが特徴です。皮も比較的柔らかいので果肉と一緒に食べられます。淡泊でクセのない味わいは調味料や具材の風味をよく引き立て、漬物にすれば味がしみ込みやすく、歯切れのよいシャキシャキ感も楽しめます。浅漬けや酢の物のほか、和え物やサラダにも向きます。青臭さも少ないので、食べやすい野菜といえるでしょう。
ハグラウリの出回り時期は5月から9月で、夏にかけて多く見られます。特に7月から9月にかけては収穫の最盛期を迎え、果肉も柔らかく味わいももっともよくなります。
ハグラウリを含めたシロウリは、成分の約95%が水分で低カロリー。塩分の排出を促すカリウムをはじめ、微量ながらカルシウムやビタミンCも含み、夏の水分補給とミネラル補給に役立ちます。
- カリウム
筋肉の動きや神経の伝達を助けるミネラルで、細胞内の水分や浸透圧を一定に保つ働きがあります。余分なナトリウムを排出し、血圧の上昇を防ぐ効果も期待できます。 - カルシウム
骨や歯を形成する主要なミネラルで、血液の凝固や心筋・筋肉の収縮にも関わります。体液の酸性化を抑え、健康な骨格や安定した身体機能の維持に欠かせません。 - ビタミンC
細胞内のエネルギー代謝に関わり、コラーゲンの生成を促して細胞同士の結びつきを強めます。また、病原菌やウイルスへの抵抗力を高め、強い抗酸化作用で老化や生活習慣病の予防にも役立ちます。

