金糸瓜 きんしうり

出典:暦生活

 

夏に収穫の最盛期を迎える「金糸瓜(きんしうり)」

 19世紀末頃に中国の「覚糸瓜(かくしうり)」が日本に伝わり、「金糸瓜」の名前で広がったとされています。
 石川県能登地方では「報恩講料理(ほうおんこうりょうり)」といって、浄土真宗の開祖親鸞聖人の命日に仏事料理で使われてきました。今も能登野菜のひとつとして栽培されています。

 また瀬戸内海に面する岡山県の牛窓(うしまど)でも栽培が盛んです。
 スーパーなどでよく見かける野菜ではありませんが、日本各地で栽培されているので、近年道の駅などの直売所に並ぶようになってきました。

 原産地はアメリカ大陸です。英語は「スパゲッティ スクワッシュ」で、果肉を茹でるとスパゲッティのような麺状になることからきています。日本でも「糸瓜」や「そうめんかぼちゃ」とも呼ばれています。

 ペポカボチャの一種でズッキーニやハロウィンの飾りかぼちゃと同じ仲間です。
 金糸瓜は小ぶりの俵形で、熟すと皮はクリーム色になります。滑らかな表面はどこか優しげな雰囲気を感じますが、皮はとても硬いのが特徴の一つです。鳥のくちばしも獣の歯や爪も太刀打ち出来ないと思わせる硬さのおかげで、夏の高温に強く果肉の水分が失われずに育ちます。

 金糸瓜を茹でる際には、輪切りにして、わたと種を取り除き、皮付きのまま茹でます。水にさらし、粗熱が取れたら箸やフォークでほぐします。指の方が早く簡単に出来ると思います。ザルにあげてよく水気を切ります。

 淡いクリームの果肉を茹でていると金色に変わっていきます。ほぐすとするりと綺麗に皮と果肉が外れ、透き通る金の糸が現れます。魔法をかけたような不思議さがあり、この下ごしらえは面白く楽しい時間です。

 茹で時間の目安は、輪切りにした金糸瓜の幅が3cmで約10分です。金糸瓜の皮はとても硬く包丁が入りにくいので、十分にご注意ください。
 さらに硬い皮ゆえ、幅の長さを均等に切るのが難しいです。無理せず2cmや5cmの幅でも大丈夫です。その時は茹でる時間を調整してください。

 シャキシャキした食感でほんのり甘くクセのない味です。三杯酢で和えたり、サラダ、炒め物、汁物などにしたりと色々な料理に使えます。暑い日にはそうめんつゆにつけるのもおすすめです。低カロリーなのでたくさん食べても罪悪感がないです。