白い塗料で体をしま模様に塗った黒毛和牛
人々を笑わせ、考えさせる優れた研究を顕彰する「イグ・ノーベル賞」の今年の受賞者が18日(日本時間19日)、発表された。黒いウシにシマウマのようなしま模様を付けると虫が近寄りにくくなることを突き止めた農業・食品産業技術総合研究機構の児嶋朋貴・任期付研究員(41)ら日本人の研究チームが「生物学賞」を受賞した。日本の研究者の受賞は2007年以来19年連続となる。
イグ・ノーベル賞はノーベル賞のパロディー版で、1991年に創設された。米科学誌が主催している。
児嶋さんは愛知県農業総合試験場に在籍していた時、ウシの飼育農家から、アブやサシバエなどの吸血昆虫に悩んでいる話を聞いた。ウシが吸血昆虫に刺されると、牛伝染性リンパ腫を媒介するほか、痛みやかゆみでストレスをため、発育が悪くなるなどの影響がある。
児嶋さんはシマウマのしま模様が吸血昆虫に刺されにくくするという海外研究者の論文を読み、2016年頃から実験を始めた。
実験では、白いスプレーでシマウマのようなしま模様を付けた牛、黒いスプレーでしま模様を付けた牛、通常の牛の3頭を用意し、どの牛に虫が付きやすいかを調べた。30分後、それぞれの牛の右半身の写真を撮り、付着した虫の数を確認したところ、通常の牛には平均で129匹、黒いしま模様の牛には111匹付いていたが、白いしま模様の牛は55匹で、ほかの半分ほどだった。
授賞式は18日、米マサチューセッツ州のボストン大で開かれる。授賞式には児嶋さんら日本人3人が招かれている。

