ヤマノイモ [ヤマノイモ科ヤマノイモ属]

 

 晩秋のキャンパスを歩くと、雑木林の中に小さな深い穴をみつけることがある。ヤマノイモを掘った跡である。ヤマノイモはナガイモの仲間で食用になる。ナガイモと同じようにすりおろして食べる。ナガイモより粘り気があって、こちらのほうが美味というファンが多い。長さは1mくらいのものもあって、掘り起こすのは大変である。市場に出れば1本1000円を越す値段になる。サトイモ(里芋)に対して山のイモと、育つ場所の違いから名前がつけられたものである。また、別名にジネンジョ(自然薯)とかジネンジョウ(自然生)というのがある。こちらは栽培種のナガイモに対して野生のという意味でつけられたものであろう。
本庄市の北を流れる利根川の旧氾濫原地域は、関東地方有数のナガイモ産地である。特に本庄市よりやや下流の太田市尾島地区はナガイモ産地として有名である。埼玉県北西部は日本有数の小麦の生産地域で、以前は大麦の栽培も多かった。この地域では麦類は主食の一つであり、麦飯にすりおろしたナガイモ(とろろ)をかけたムギトロメシはよくたべられたものである。キャンパスにヤマノイモを掘りに来るひとが多いのは、地域のこういった食文化の影響のせいと思われる。
秋になると、葉は鮮やかな黄色に染まる。ヤマノイモを掘る人にとっては格好の目標となる。ツルにはムカゴと呼ばれる実がつき、これも食用となる。以前には、子どもたちはムカゴを焚き火の灰の中にいれて焼き、おやつにしたものである。
【参照先不明】