樹木は、人間や動物よりもはるかに長く生きることが可能です。
数十年、数百年という時間を超え、数千年という気の遠くなるような年月を生き抜く木も存在します。
「プロメテウス」と呼ばれる1本の木は、後に樹齢およそ4,900年と判明し、当時「年代測定された単独の樹木として世界最古」となりました。
しかし、その事実が明らかになったのは、この木がすでに伐採された後だったのです。
プロメテウスは、アメリカ・ネバダ州のグレートベースン国立公園周辺に生育していた、Pinus longaevaという樹種の1本です。
Pinus longaevaは、世界で最も長寿な樹木の一つとして知られています。
標高の高い山岳地帯という、乾燥して寒さの厳しい環境に適応し、極めてゆっくりと成長することで、非常に高密度で腐りにくい木材をつくります。
その結果、風雨や菌類、昆虫の影響を受けにくく、長期間にわたって生存し続けることができるのです。
この樹種の寿命を特別なものにしている要因の一つが、「Sectored architecture」と呼ばれる体のつくりです。
Pinus longaevaでは、根と幹が部分ごとに対応しており、ある根が機能を失っても、その上に対応する幹の一部だけが枯れ、他の部分は生き続けます。
そのため、木の大半が枯死しているように見えても、細い帯状の樹皮だけで数千年生存している個体が珍しくありません。
こうした特徴から、Pinus longaevaは「生きた気候記録」である可能性があります。
年輪には、その年の気温や降水量などの環境条件が刻まれており、数千年分の気候変動を読み取ることができるからです。
伐採後、断面を詳細に調べた結果、4,862本の年輪が確認されました。
Pinus longaevaは、厳しい環境条件下では年輪が形成されない年もあるため、実際の樹齢はそれ以上と考えられます。
こうしてプロメテウスは、推定約4,900年という、当時としては前例のない長寿の木だったことが明らかになりました。
つまり、世界最古の木であると確定したのは、切り倒された後だったのです。
プロメテウスが伐採された後、長寿記録の「次点」とされていたのは、カリフォルニア州ホワイト山脈に生育する別のPinus longaevaでした。
出典:ナゾロジー

