人や他の植物を利用してしたたかに生きる「ずるい雑草」

寄生したり、種をくっつけたり。

 例えば、ゴルフ場では芝生をキレイに整えるために何度も芝刈りを行うので、多くの雑草は枯れてしまいます。それでも、よく観察するとスズメノカタビラやヒメクグなどの雑草が存在しています。

 このような場所では、大きな植物が育たないために光は当たるし、芝生の肥料をもらうこともできるので、人間が作り出した環境に便乗しているずるい雑草といえます。

 その他にも、靴の裏やペットの毛に付着して種子を遠くまで運んでもらうずるい雑草もあります。

なぜ、ずるをするのか?

 雑草は種子を昆虫に食べられたり、せっかく芽を出しても動物に踏まれたり、人に刈り取られながら育ちます。また、天気が急変して温度が下がれば一瞬で枯れてしまうことがあるので、あえてバラバラに芽を出すことで全滅を回避しています。その他、雑草は種子をあちこちに飛ばすことで、環境のよい場所を探していますが、その際には人や動物、昆虫も種の運び屋として利用してます。ずるをするのは、雑草の生き残り戦術のひとつなのです。

 植物は普通、自分の根から水や栄養を吸収して大きくなります。ところが、雑草の中には、他の植物から栄養を吸い取って育つ寄生雑草と呼ばれるものが存在します。

 たくましい雑草でさえも寄生雑草に栄養を奪われてしまうと、枯れてしまいます。

ヤセウツボ

 ハマウツボ科のヤセウツボは、地中海沿岸が原産の外来雑草です。

 ヤセウツボは、様々な植物に寄生して栄養を奪いながら育ちますが、マメ科の植物が好きなようです。河川敷に見つけたヤセウツボも、マメ科のアカツメクサ(赤紫色の花を咲かせるクローバーの仲間)に寄生していました。

 植物といえば緑色をしているのが普通ですが、ヤセウツボは地味な茶褐色です。もちろん、枯れている訳ではなくこれが通常の状態です。ヤセウツボは、クローバー(アカツメクサやシロツメクサ)を目印に探してみてください。

ネナシカズラの仲間

 以前、散歩をしていたら黄色の細いつるに覆われている一角があり、近づいて見たらその正体はネナシカズラの仲間でした。

 ネナシカズラの仲間にはアメリカネナシカズラやマメダオシ(豆倒し)などがありますが、見た目がすごく似ているので、判別することはちょっと難しいです。ちなみに、マメダオシは絶滅危惧種に指定されているので、中々見つかりません。

 ネナシカズラの仲間に覆われたクズの一部が枯れていましたが、一部分にとどまっていました。寄生雑草とはいえ、やはり、クズのように自分の根で栄養を吸収する雑草の方が強いのかもしれません。

— タイプ2・人や動物に種子を運んでもらうコバンザメ型 —

 雑草の種子は、タンポポの綿毛のように風に飛ばされて周囲に散らばったりもしますが、それ以外にも、人や動物、昆虫まで利用して種子を運んでもらっています。

ホトケノザ

 春の七草に出てくるホトケノザ(キク科のコオニタビラコ)とは別物の、シソ科のホトケノザは種子をアリに運んでもらっています。

 ホトケノザの種子には、アミノ酸や糖分を含むエライオソームと呼ばれる白色の物質が付着していますが、アリがエサとして巣に持ち帰るため、種子を遠くに拡散することができます。

 アリに食べられずに残った種子は新しい場所で芽を出すことができますが、アリが変な場所に種子を運んでしまうと、写真のように空き家の室内で育つことになってしまいます。刈られることがないので安全な場所かもしれませんが、ちょっと窮屈そうです。

オオバコ

 オオバコの種子は水に触れると粘液を出し、靴の裏などにくっついて広がるので、公園や砂利道によく生えています。ただ、人がよく通る場所に芽を出すと、踏まれてしまい大変そうですが、オオバコは葉が切れたりしながらも育っています。

 もしかしたら、オオバコは踏まれる方が好き?‥ということは無いかもしれませんが、人によく踏まれる場所には他の雑草が入ってこないので、案外、快適なのかもしれません。

 
出典:Bepal