算数、裁縫…「竹尺」生産終了が話題に

「特に晒しの工程に手間。担い手がおりません」

 手芸用品や、学校教材として慣れ親しまれている「竹尺」。この竹尺をめぐり、大阪に本社を置く手芸資材の卸問屋が、取り扱いの中止をXで発表したところ、多くの反響がありました。

— 貴重な「尺」表記、耐久性などにも特徴 —

 同社での竹尺の取引先は、少なくとも50年以上前から現在まで、今回生産が終了となった国内のメーカー1社のみでした。
メーカーがおろしていた竹尺は、単位表記が「尺」や「センチ」のもの、そして両方が併記されたものなどが、様々な長さで取りそろえられていた計10種類でした。

 国内には他にも数社、竹尺メーカーがあるそうですが、営業部次長の尾野健太さんは「他のメーカーは、基本的にセンチ表記ですが、今回生産中止するメーカーの商品には尺が表記されていました」とし、「尺の表記は、和裁で使うことがありますが、販売数でいうとそんなに多くはない。それでも需要があるということで、作り続けてくれていた貴重なメーカーです」。

 そもそも、手芸においての竹尺は、生地の採寸などで使われます。尾野さんは「プラスチックなどの素材もある中で、竹という素材は軽く、滑りがいい。耐久性もあり、折れた竹尺を見たことがない」と、その特徴を説明します。

 同社では、手芸用の布地も多く扱っていますが、「生地を採寸して切るときに、竹尺を使っているので、1メートルのものを各フロアに置いています」。

伐採から裁断、人手不足

 メーカーによると、生産中止の理由は、「竹材の入手がこの先恒久的に確保できる見通しが厳しくなった」とのこと。

 竹尺は、竹を伐採、運搬、晒し(防虫、カビ防止、耐久性向上、艶出し等の目的)、切断などをした後、各種加工を施し、製造されます。しかし、同社によると、竹の伐採から切断に至るまでの業者が、高齢化などの理由で廃業が相次いだといいます。
「特に、晒しの工程に相当手間がかかるため担い手がおりません」

 担い手不足などの事情から、竹尺の元となる竹材の仕入れ価格が一時、以前の3倍以上に高騰したとのこと。現在は2倍程度になったとのことですが、今後竹材を恒久的に確保する見通しが立たないため、「苦渋の決断ではございますが生産中止に至りました」。

代替品、海外製も視野に入れたけど

 日本紐釦貿易の尾野さんによると、同社で取り扱いのある竹製品は、他にも編み物で使う「編み針」や、バッグの「持ち手」などがあるといい、「いずれも値上がりが激しく、ここ1、2年で急騰した印象です」。

 今回の生産中止を受け、国産の竹尺を生産する他社のもので見積もりをとっていますが、原価で1.5から2倍になりそうだとのこと。

「海外製も視野に入れたのですが、品質チェックをすると、使う竹の部位が違ったり、厚みがあることで『しなり方』が違ったり、目盛りがぼやけていたりして、国産のものとは大きな違いがある」といいます。
「ユーザーの期待に応えるためにも、国産のものを検討していますが、価格の上昇は避けられない状況です」
春までには新たな竹尺の扱いを始める見込みだそうです。

 
出典:朝日新聞