むかし、山で採ったぜんまいを売り、それで生計を立てるという一風変わった生業があったそうな。ウワサには、ぜんまいを採るためだけに山奥の小屋で何十日も過ごしたとか、ひと春で何百万にもなったとか…!?。
銀山平の奥只見地域で二十年、その後、地元の湯之谷地域の山で二十余年。その道四十余年にもなるというご夫婦にお話を聞いてみた。
ぜんまい採りは、里の雪がおおかた消える5月、人里離れた山奥にこもって行われる。ご夫婦は山に“ぜんまい小屋”と呼ばれる小屋を持っており、そこがぜんまい採りの拠点になる。車で1時間半という奥只見地域の小屋では、なんと約60日間も過ごしたそうだ。
メンバーは、夫の竹二さんと妻の静枝さん、小屋の番をするご家族1名の、計3名。竹二さんは週一で食料などを補充しに里に戻るが、あとのお二人はこもりっぱなし。里に戻る頃には夏野菜が大きく育ち、まるで別世界のように感じたそう。
ぜんまい採りの朝は早い。3時に起床し、お弁当の準備と朝食を済ますと、4時半くらいに小屋を出発。一歩踏み外せば危険な急勾配の沢を、ぜんまいを採りながらひたすら分け入っていく。12時頃にお昼休憩。それが終わると小屋に戻るが、今度は約6貫目(22.5㎏)にもなったぜんまいを背負っての移動。行きよりもずっとキツい。ようやく小屋に着くのは夕方の4時頃。すぐに採ってきたぜんまいを茹で、5時に夕食。どぶろくなどのお酒も少々嗜みつつ、お風呂に入り一息ついたら、就寝は早めの6時。体力的にかなりハードな仕事のようだ。
奥只見地域で星さんご一家が収穫したぜんまいは、2ヶ月間で約100貫目(375㎏)。全て専門の商人に買い取ってもらった。現在のお金に換算すると、約400万円にもなったとか。60日のうち実際に働くのは35日くらいだそうで、そうすると一日10万円以上稼いでいたことになる。
ぜんまいは、天日干ししたものを“赤干し”、屋内で干したものを“緑干し”と言い、赤干しの方が高く売れたそうだ。太さや、下ごしらえの手入れのよさも評価の対象だったとのこと。
出典:雪と旅

