ニワトリで除草・耕運・施肥する「チキントラクター」

「チキントラクター」とは何ぞや?

 初めてその言葉を聞いたら、おそらく多くの人は首をかしげると思う。チキンはご存じの通り鶏肉のことだ。ニワトリとも解釈できる。トラクターは農業で土を耕す、あのマシンですね。するってえと、ニワトリが引っ張るトラクター? いやいや、ニワトリを運ぶ機械では? または、ニワトリをデザインしたトラクターとか? たぶんそんなものを想像するのではないだろうか。でも、全部ハズレ。

 チキントラクターとは、床のない移動式のニワトリ小屋のこと。ニワトリをその中に入れて庭や畑に置いておくと、雑草を食べてくれ、エサを探して地面を足で引っかき回し、フンが肥料になり、その小屋を移動させながら土を耕していくというものだ。だからトラクター。ニワトリの習性を利用したユニークな仕組みである。語感がいいし、合理的でありながら、ちょっと笑える。

 ヨーロッパでは古くから、移動式のニワトリ小屋を畑に置いて草や虫を食べさせたりしていたようだが、チキントラクターという名前とそのシステムは、持続可能な農業の手法のひとつとして1990年代に定着したと言われている。

 そりゃ、トラクターと名前がついていたって、エンジンを積んだマシンのようにはいかないが、ニワトリを飼っていて、畑があれば、やりたくなっちゃう。私がチキントラクターを知ったのは十数年前だが、その考え方に半ば感心しながら、半ば笑いながら、すぐに作ったものね。

 実際、1日畑に置いておくと、その場の草はすっかりきれいになる。翌日は場所を変えて、またそこを耕運、除草してもらう。そうやって、ちょいちょい庭や畑を移動させてやれば、極めて微力ながらも、耕運や除草の役に立つ。いや、立たないかも……。でも、こういうやり方は楽しいからいいよね。

 
出典:マイナビ農業