コーヒーかすの「使い方」と農家が実践する多様な活用方法

コーヒーかすを「資源」として活用した循環型農業

 舩越農園では2020年から本格的にコーヒーかす堆肥の導入を始めましたが、実はそれ以前から活用を模索されていました。きっかけは、野菜を卸しているレストランのオーナーからの勧め。レタスや枝豆の防虫対策として、土の表面に撒くことからスタートしたそうです。

 現在は、試行錯誤を重ねながら多種多様な野菜にコーヒーかすを活用されています。

— 【コーヒーかす栽培で育つ主な野菜】 —
  • 果菜類: なす、トマト、万願寺とうがらし、とうもろこし、おくら、かぼちゃ
  • 葉菜類: レタス(各種)、キャベツ、白菜
  • 根菜類: サツマイモ、にんじん
  • 豆類・穀物: 枝豆(茶豆)、お米
コーヒーかすを「そのまま」土に混ぜ込む方法

 この方法は、コーヒーかすを発酵や堆肥化させる手間をかけず、ダイレクトに土壌へ還すシンプルなやり方です。

— ポイント:栽培開始の「4ヶ月前」に実施する —

 mame-eco(マメエコ)が提供したコーヒーかすを土壌に撒き、そのまま4ヶ月間放置します。その後、土をすき込み(混ぜ込み)、畝(うね)を立てて準備完了です。
【実績:サツマイモとカボチャ】 実際に5月にサツマイモの苗を植え付けたところ、近年の厳しい猛暑の中でも力強く育ち、無事に立派なサツマイモを収穫することができました。

 時間に余裕がある場合は,「放置して待つ」というシンプルな工程でも、土に還していく一助となります。サツマイモのほか、カボチャの栽培にも相性が良いようです。

コーヒーかすを茎元(株元)の土の表面に撒く方法

 この方法は、土の中に混ぜ込むのではなく、植物の根元に「マルチング」として敷き詰める活用術です。

— 主な効果:保湿と虫よけ —

 土の表面をコーヒーかすで覆うことで、土壌の乾燥を防ぐ「保湿効果」が期待できます。また、コーヒーの香りを活かした「虫よけ」としても利用されています。

 ⚠️ 大切なポイント:厚塗りに注意! コーヒーかすを厚く敷きすぎると、乾燥した際に表面が固まってしまい(ケーキ化)、逆に水や空気を通しにくくなることがあります。「薄くパラパラと撒く」、あるいは**「土と軽く混ぜ合わせる」**のが、植物を元気に育てるコツです。

コーヒーかすを畝(うね)の表面に撒く方法

 苗を植える盛り土部分(畝)の表面に撒く活用法です。

— 主な効果:ナメクジなどの害虫対策・追肥(ついひ) —

 苗がまだ小さくデリケートな時期、天敵となるのがナメクジなどの害虫です。コーヒーかすを畝の表面に撒くことで、不快な害虫を寄せ付けにくくするバリアとして役立ちます。

 また、ゆっくりと分解される過程で「追肥」としての役割も果たし、苗の健やかな成長をサポートします。

 💡 ここでも「薄く」が基本! 方法②と同様に、水やりや雨の際に水分がしっかり土へ浸透するよう、表面に薄く均一に広げるのがポイントです。

コーヒーかすを「発酵堆肥」として利用する方法

 コーヒーかすに米ぬかとEM菌を加え、微生物の力で発酵させる本格的な活用術です。

— 黄金比のレシピ(目安) —

 コーヒーかす: 10リットル
 米ぬか: 10リットル
 EM菌希釈液: 7リットル (ベランダ菜園などで少量仕込む場合も、この比率を参考に調整してください。)

— 【作り方の手順とポイント】 —

 混ぜ合わせる: 材料を混ぜ、手でギュッと握った時に「団子状」になる程度の水分量に調整します。
 密閉して発酵: 袋に入れ、空気を抜いて密閉した状態で約1ヶ月間寝かせます。
 成功のサイン: 1ヶ月後、甘酸っぱい香りがしたり、表面に白い菌糸(カビのようなもの)が出ていれば、堆肥化が順調に進んでいる証拠です。

— 💡 プロのワンポイントアドバイス: —

 水分が命: コーヒーかすは乾燥していなくても大丈夫です。最終的な「団子の硬さ」を見てEM菌の量を調整してください。
 濃度について: 通常は5%程度の希釈水を使いますが、水分量が多い場合は濃度を濃くして調整するのがコツです。

— コーヒーかす堆肥を活用した米作り —

 野菜だけでなく、コーヒーかすをEM菌(善玉菌の集合体)で発酵させた堆肥を水田でも活用しています。

 EM菌の働きにより土壌が整い、水田の水質も良好に保たれています。近年の厳しい暑さの中でも稲が健やかに育ち、10月前半には無事に収穫を迎えることができました。

 収穫されたお米は、減農薬・無農薬栽培に取り組む農園の産物として各店舗で販売されています。コーヒーかすが、地域の主食であるお米を育てる貴重な資源のひとつとして役立てられています。

 
出典:Mame-eco