クワレシダ、てんぷらにおひたし… 

昔は各家庭が川岸の草を刈り「適度に人の手が入って共生」

 地域の伝統的食材としても親しまれてきた「クワレシダ」の群生が鹿児島県伊佐市菱刈川北の川岸に現れた。かつて川内川沿いに多く生育し「ユノオ(湯之尾)シダ」と呼ばれてきたが、竹やアシが生い茂り少なくなっていた。除草作業で環境が改善したらしく、地元では「懐かしくおいしい身近な植物で、さらに復活してくれたら」と喜んでいる。

 クワレシダは東南アジアや九州に分布する大型のシダ。人里近くの水辺に生え、若芽はてんぷらやおひたしなど食用になる。開発で姿を消し、熊本県のレッドデータリストは「絶滅危惧IA類」に指定。鹿児島県では現在のところ絶滅の危険は低いが、生物地理学的に注目すべき「分布特性上重要な種」に分類されている。

 群生を見つけたのは、近くに住む同市菱刈郷土資料館専門指導員の原田純一さん(77)。

 昨年9月に国土交通省川内川河川事務所が外来魚駆除の釣り大会のため一帯を除草。今春、旧川内川の川岸に長さ約25メートル、幅1~5メートルの範囲で生い茂るようになった。クワレシダは日陰に弱いが、やぶを刈り払うと復活する場合もあるという。

 原田さんによると、50年以上前、各家庭は洗い物をするため川岸の草を刈っていた。原田さんは「適度に人の手が入り、昔からクワレシダと人は共生していたのだろう。その存在を知ってほしい」と願っている。

 
出典:南日本新聞