青森県が生産量日本一を誇る果実「カシス」に含まれる特定の多糖類(食物繊維の一種)に、免疫を活性化する働き(免疫賦活作用)があることを、弘前大などの研究グループが明らかにした。機能性食品原料としての実用化が期待される。
研究は、弘前大グローバルWellーbeing総合研究所の前多隼人教授らが、琉球大、キリンホールディングス、YoKa食品科学研究所(弘前市)と共同で実施した。カシス果汁から取り出した多糖類を、マウス由来の培養細胞に加えて分析。その結果、免疫機能に関わる「マクロファージ」を活性化する作用が確認された。
さらに詳しく調べたところ、「ラムノガラクツロナン―Ⅰ(RGー1)」や「キシロガラクツロナン」と呼ばれる多糖類が、高い免疫賦活作用に関係していることが示唆された。研究グループは、これまで十分に解明されていなかった「どの成分が作用に関わっているのか」を絞り込めた点に意義があるとしている。
カシスは「ブラックカラント」とも呼ばれ、青森県が全国一の生産量を誇る特産果実。紫色の色素成分「アントシアニン」を豊富に含み、抗酸化作用などが知られてきた。多糖類についてもアレルギー症状の緩和などが報告されていたが、詳しい作用の仕組みは分かっていなかった。
前多教授は「カシスの多糖類が分解されてできたオリゴ糖が、腸内にある免疫細胞に働きかけ、免疫機能の調整に関与している可能性がある」と説明。ブドウやリンゴなど他の果実の多糖類では、同様の培養細胞で高い免疫賦活作用は確認されておらず、カシス特有の成分構造が関係しているとみられるという。
ただ、今回の研究は培養細胞を使った基礎研究段階で、人がカシスを食べた場合に同じ効果が得られるかは検証課題という。
研究グループは今後、効率的な成分抽出法の開発や食品への応用を進める方針。研究成果は3月、食品科学分野の学術誌「フードサイエンス・アンド・テクノロジー・リサーチ」に掲載された。
出典:Web東奥

