暑さに強い「新品種トマト」、廃棄に悩む農家の“救世主”に

コメや果物も…異常気象で進化する夏の農業

 今年の夏も厳しい猛暑が予想されています。夏場の野菜は、毎年災害級の暑さで生育不良などに悩まされていますが、「安定して食卓に届けられる」と注目されているものがあります。

 収穫シーズンを迎えたこのトマト。笠原さんは「暑い時に栽培できるトマトを、全部このハウスの中で栽培しています」と教えてくれました。品種改良を重ね誕生した、暑さに強い「桃太郎ブライト」。2年前に登場した新品種で、笠原さんはいち早く栽培を始めました。

笠原さん
「4、5年前から日差しが強すぎて、今までのトマトだと日焼けをしてしまった。(日焼けすると)肩の部分が黄色くなるんですね」

 夏野菜のトマトですが、強烈な暑さや日差しには弱いそうで、日よけ対策ではあまり効果が出ませんでした。表面が焼けたトマトは味が落ちて売り物にならず、廃棄していたといいます。

笠原さん
「(以前の品種だと)7月の一番ひどい時で約5割ダメになっていました。収入が入らなくなって、農家を辞めないといけないと思いました」

 3つのハウスで栽培・出荷するトマトは年間15トン以上。そのすべてを暑さに強い品種に変えてから日焼けトマトはほぼゼロとなり、生産量が安定しているといいます。

 収穫は、例年猛暑となる7月中旬頃まで続くといいます。笠原さんに「ここら辺が食べごろ」と案内され、斎藤キャスターは特別に、採れたてを丸かじり。「本当に赤くてきれい。甘い。すごくみずみずしいですし、肉厚。採れたてっておいしいですね」

タキイ種苗開発部 一方井詩音さん
「我々の想像を超えて温暖化や異常気象が進んでいますので、さらに今の特性を上回るものは絶えず研究しています」

「(暑さに強いほかの野菜としては)レタス・かぼちゃ・ナスを耐暑性品種として売り出しています。一般的にひと品種作るのに10年かかると言われています。先を見据えた品種育成をやっていかないと」

 日焼けしにくいというカボチャや、猛暑でも大玉に育つというレタスもあります。

 全国の自治体も、暑さに強い品種の開発に乗り出しています。東京都は今年3月に、ブルーベリーの「東京ブルーブーケ」を発表。猛暑でも成長する新潟県の極早生(ごくわせ)米「なつひめ」は今年から販売予定です。

 掛川市内にある飲食店「炭焼 きゅうべえ」。人気のトマトベーコンピザ(968円)は、桃太郎ブライトを丸々1つ使った贅沢なピザです。

 この店では約20種類のメニューに、暑さに強いトマトを使用。期待していたのは仕入れ価格の安定です。服部雅季オーナーは「安定して卸していただけるというのもありますし、おいしいものをお客さんに提供できるのは本当にありがたいと思っていますね」と言います。

 これから迎える厳しい暑さ。笠原さんは「環境が変わっていく状況に合わせた農業、柔軟性のある農家を目指していかないといけないのかなと思いますね」と語ります。

「日焼けしたトマトは売り物にならずに収穫できる時期も短かったそうで、笠原さんは『桃太郎ブライトに救われた』と語っていました」

「暑さに強い新品種を開発した方や農家の方、多くの人が努力をして、こうして私たちがおいしいトマトを口にできるんだなと改めて認識できました」

(5月12日『news every.』より)

 
出典:Nnews.livedoor 出典:タキイ種苗