イオン、世界初・完全養殖ウナギ蒲焼を試験販売

天然資源に頼らないウナギの完全養殖技術の社会実装に向けた実証

 これまでウナギの養殖では、稚魚として天然のシラスウナギが必要で、稚魚から完全な養殖によるウナギの一般流通は実現していなかった。

 ウナギの養殖についてはFRAを中心に、1990年代から完全養殖の研究開発が進められており、2010年には、世界で初めて人工的に採取した卵から育成したウナギを親魚として産卵させることに成功。その後、飼育技術や生産体制の改良を重ねてきた。

 山田水産はFRAが開発したノウハウを活用し、「親→卵→子→親」の全てを養殖で完結させながら、量産化に向けても大きく前進することに成功。また、世界で初めて抗生物質や合成抗菌剤を一切使わない養殖でもある。

 ウナギは天然資源として乱獲などによる絶滅が懸念されており、資源問題は避けて通れない。完全養殖を実現し、商用化することで天然資源に頼らない持続的な養殖ウナギの流通を目指す。

 山田水産の代表取締役社長 山田信太郎氏は、完全養殖のブレイクスルーの一つは「稚魚用の代替飼料の開発」にあったとする。ウナギの稚魚がふ化した後にすぐ食べるエサが「アブラツノザメ」の卵であるとされ、当初はその卵を手に入れようとした。しかし、そもそもアブラツノザメは繁殖力が低く絶滅リスクが高い種であることがわかり、断念。そこで鶏卵ベースの代替飼料を開発することに成功し、稚魚を育てることが可能になったという。

 山田水産では、現在稚魚用の水槽を12槽設置しているが、これを今後45槽に増やし、2028年には10万尾のシラスウナギを育成可能にすることを目指す。

「これまでの養殖ウナギと比べて特別美味しいというわけではない。いままでのが美味しくないというわけでもない」としながら、「美味しさは加工技術も大事であり、美味しいタレと良い処理が必要で、美味しく仕上がっている。既存の養殖ウナギと比べて遜色はない」としている。

 今回の取り組みは、完全養殖技術の成果を社会に届け、購入者の受け止め方を検証することを目的とした試験販売。市場での提供を通じて評価を確認し、今後の社会実装を目指す。

 販売は、5月29日からネットスーパーの「Green Beans」と「イオンショップ」(予約販売)で行なう。数量限定。試験販売では、購入者にアンケートの協力を求め、得られた意見を今後の取り組みに反映する。

 
出典:impress。watch.