【種苗法改正】狙われるもうけの種 権利保護、諦めムードも


 日本で開発された果物などの新品種の海外流出が後を絶たない。日本の果実は品質に定評があり、もうけの種として狙われる状況が続いている。権利保護を巡る政府の対策は後手に回った感もあり、生産者側には諦めムードも漂う。

 「同じことが繰り返し起こっている」。黄色いリンゴの代表格「トキ」の種苗の権利を保有する原田種苗(青森県弘前市)の担当者はつぶやいた。よく似た種苗が海外のサイトで売られていることが、農林水産省が2025年に実施した調査で確認された。海外に持ち出された可能性がある品種は計約50に上り、その流出先として判明しているのは中国や韓国だ。

 トキは故土岐伝四郎氏が約20年かけて育成した品種で、04年に登録された。海外で品種登録するには日本での販売など譲渡開始から6年以内に申請する必要があるが、国内では当時、権利管理意識が低かったこともあって手続きしていなかった。取り締まりたくても「もう手遅れだ」(同担当者)との声が漏れる。

 愛媛県が22年に品種登録した高級かんきつ「紅プリンセス」も、中国のサイトで紅プリンセスを意味する「紅公主」などの名称の苗木が売られていることが確認された。県は種苗を取り扱うことができる企業を制限し、海外からの視察を受け入れないといった対策を講じていただけに、中村時広知事は「法律の範囲内でやれることは全てやった」と唇をかむ。

 政府は規制強化を進めている。21年に施行した改正種苗法で、第三者が海外に持ち出すことを制限。17日には、登録出願中でも輸出を差し止めできる権利の創設を含む改正種苗法が成立した。

 ただ、流出と規制強化の「いたちごっこ」が続くのは避けられそうにない。そもそも種や枝は簡単に持ち運べる。種苗の権利に詳しい宇都宮大の櫻谷満一特任准教授は規制強化の動きを評価しつつ「流出を防ぎきれないという前提にも立ち、海外での権利管理を強化すべきだ」と説く。

 愛媛県は19年、中国で紅プリンセスの品種登録を出願し、審査中だ。認可されれば無断栽培が差し止められ、許諾料を得ることができる。

 海外での品種登録や契約といった対応は語学力や法令の専門知識が必要で、品種を開発した多くの団体や自治体にとって負担が大きい。農水省は17日、国内外で権利管理を代行する専門機関としてJ—PLANTS(ジェイ・プランツ、東京)を認定した。その実効性が問われそうだ。

(共同通信社)

 
出典:静岡デジタル