茨城県は都道府県別メロン生産量で、常にトップを走る「メロン王国」だ。同県の2024年度の生産量は3万6900トンで全国の約25%を占める。
向かったのは鉾田(ほこた)市。同市は県のメロン生産量の6割近くを生産している。いわば「王国の首都」である。そんな鉾田で農園を経営する「メロン農家の根﨑」を訪ねた。農園内には約40棟のハウスが立ち、年間で約3万玉のメロンを出荷する。栽培品種は茨城県農業総合センターが開発した「イバラキング」にほぼ特化している。
父の代から続く農園を継いだ、2代目の根﨑直喜さんはこう語る。
「3万玉は少なくはないと思いますが、鉾田では平均的な出荷量だと思います。県内にはもっと大規模な農家がありますから」
根﨑さんは、茨城県が主催する「いばらきメロン品評会」のイバラキングの部において、2年連続1位(2023〜24年)に輝き、昨年も2位に選ばれた。県も認めるメロン作りの達人である。
「イバラキングは育てるのが非常に難しい品種なんですよ。繊細すぎるゆえに、従来の品種の作り方と発想を変えていかないといけません。一番のポイントは最初出てくる葉っぱを手のひらより大きくしないこと。水の吸収量をコントロールして我慢させる。そうすることで、その後の生長が順調にいくのです」
最初が肝心。根﨑さんはそう語る。ことにイバラキングは1日の成長量が大きいので、ネット(網目)が乱れやすいという。「メロンというとみなさんネットのイメージを持っておられるので、キレイに整えたい。多少ネットが乱れていても味には関係ないのですけどね(笑)」
花が咲くと受粉はミツバチが行なう。養蜂家から巣箱を7箱借り、ハウス内に順番に放していく。「人の手ではとてもできません」
花が咲き受粉すると5〜6日で実が膨らむ。約40日かけて外見が作られ、果肉の糖度を上げながら約60日後に出荷時期を迎える。
生長過程で網目が徐々に現れる。受粉から15〜20日後に実の表面に網目が浮かんでくる。散水や肥料を調整しながら、網目を美しく整えていくのも腕の見せどころだ。
文字通り一玉一玉手塩にかけて育てたイバラキングは、5月から6月が出荷のピークだ。ハウスごとに時期をずらしながら栽培してきたメロンがつぎつぎに生長し、収穫のときを待つ。ひと玉平均1.5㎏前後で、大きいものだと2㎏を超えるものもあるという。
根﨑さんはイバラキングの味の特徴をこう語る。
「口に入れたとき、さわやかで上品な甘さが広がります。くどくないので、いくらでも食べられてしまいます。肉質も滑らかで香りもいい。味は高級なメロンに負けていないと思います」
出荷間近のイバラキング。生長が早いイバラキングは実が割れてしまうこともあり、状態を見極めながら最後の仕上がりを待つ。
1玉1.5㎏前後のイバラキング。アールスフェボリット種の系統を色濃く残し、甘みと旨味がバランスよく、爽やかな風味が持続する。
出典:サライ

