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高校生のアイデアで竹をチップ化、路面温度を低く

出典:読売新聞オンライン

 

高校生のアイデアで竹をチップ化
歩道の舗装に使い路面温度を低く…
放置竹解消と猛暑対策の一石二鳥

  再整備工事が進められている磯上公園(神戸市中央区)に、竹を細かく砕いた「竹チップ」で舗装した歩道が誕生する。昨年、放置竹林問題を学ぶ兵庫県立御影高校(同市東灘区)の生徒が市に提案した竹の活用法をベースに、市が実現させた。放置竹林の課題解消につながるだけでなく、アスファルトに比べて路面の温度を低くする効果があるといい、猛暑対策としても期待される。(伊藤大輔)

 磯上公園の再整備は、市が進める「都心・三宮再整備」の一環で、2022年7月に体育館が新設され、昨年9月から他のエリアの改修工事が始まった。広場やブランコなどの遊具が新たに整備され、その一角、池や植栽が広がる「ヒーリングガーデン」内にある幅1・2メートルの歩道(計225平方メートル分)に、長さ2センチほどの竹チップ約1トンが使われている。

 基となったのは、御影高生の提案だ。昨年度、総合人文コース1年生の授業で、土砂災害の原因となる恐れがあるなど全国的に問題となっている放置竹林を学習テーマとして扱った。生徒らは竹の活用法として、公園の遊具や化粧品への転化などのアイデアをまとめ、昨年10月に市に提案。その中に竹チップを道路の舗装材にする案があった。

 竹の活用に詳しい福岡大工学部の佐藤研一教授(舗装工学)によると、土や竹チップで舗装した路面の温度は、夏にはアスファルトと比べて10度ほど低くなる。また、竹は土と比べて保水性が高く、打ち水の効果が長く続くほか、耐久性が高いのも特長だという。

 市は実現性が高く、猛暑対策を進める方針とも合致することなどから、竹チップ案を採用。北区 淡河おうご 地区で放置竹林問題に取り組む住民団体「淡河バンブープロジェクト」が作った竹チップを買い取り、工事業者が土や固化剤と配合して舗装材に仕上げた。佐藤教授は「竹チップ舗装を耐久性の観点から使う例は他都市でもあるが、暑さ対策では全国的にも珍しい。放置竹林と猛暑に悩む自治体にとって、神戸市の取り組みはモデルケースになるだろう」と話す。

 磯上公園は6月6日に改装オープンし、記念式典も開催される。提案した御影高の2年生(16)は「アイデアが反映されてうれしい。小さな子どもが遊んだり、高齢者が散歩したり、憩いの場として活用してもらいたい」と喜んでいる。