出典:ウェザーニュース
「栗というと旬の時季が短いように思われるかもしれませんが、丹沢などの早生品種では8月下旬から収穫が始まり、岸根などの晩生品種では10月中旬まで収穫が続きます。それぞれの品種で見た目も味も違いがあり、また長く楽しんでいただけるように栽培しています」(田中舘さん)
栗は収穫直後と一定条件で貯蔵したものとでは味が異なるそうです。
「栗は収穫後すぐだとあまり甘味がありません。というのも、栗は低温にさらされるとデンプンを糖に変える性質があるためで、収穫直後ではまだ糖分が少ない状態なのです。
そこで、一部の生産者は、収穫したら0℃から栗が凍り始める温度までの温度域(氷温域)に設定した冷蔵庫に入れ、温度や湿度を厳しく管理しながら1ヵ月程度貯蔵して糖度を上げた『貯蔵栗』を出荷しています。貯蔵栗は、収穫直後に比べて約2倍糖度が増しています」(田中舘さん)
この貯蔵法は家庭で試すことも可能でしょうか?
「家庭でも貯蔵栗を作れないことはありません。新鮮な栗をポリエチレンの袋に入れて、冷蔵庫で0~-1℃(チルド室程度)に保ち、2週間~1ヵ月保存します。これで糖度が増します。その際、袋は栗が呼吸しやすいように口を折る程度にとどめておくのがコツです。
ただし、家庭で作る場合は冷蔵庫の開け閉めがあって温度を一定に保つことが難しいため、カビが生えたり、傷んでしまったりすることがあります。せっかくの栗を台無しにしてしまうのは良くないので、できればプロが作った貯蔵栗を買うことをおすすめします」(田中舘さん)
収穫直後の栗と貯蔵した栗では甘味の他にも違いがあるそうです。
「収穫直後の栗は、デンプンが多いため、粉を吹いたようなホクホクとした食感と栗独特の香りの高さがあります。甘露煮や栗蒸ようかんなどには、香りのある収穫直後のものがおすすめです。
一方、栗を貯蔵するとデンプンが糖に変わるため、独特のねっとりした食感になります。貯蔵栗は、蒸してそのまま食べると自然の甘味が感じられます」(田中舘さん)
栗の旬は8月下旬の早生に始まり、10月中旬の晩生まで続きます。旬を逃さず美味しい栗をいただいて、秋の味覚を堪能しましょう。