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なすのヘタは「切り落とさず食べる」が正解

出典:東洋経済

 

「なすは栄養価が低い」を覆す研究結果が続々

 栄養価が少ないと考えられていた「なす」ですが、近年はさまざまな栄養効果が発見されています。

 たとえばヘタはイボを取る効果があるとして民間療法などで活用されていましたが、なんとヘタやガクに含まれる天然化合物が、子宮頸がんのがん細胞を死滅させることが、マウスを使った実験で発見されたのです。

 ガクは口に残るのでそのまま食べるのは難しいですが、ヘタは切り落とさずにスープに入れたり、炒めたりして食べることが可能です。ガクごと干して、きんぴらなどで食べる方法もあります。

— 「種」は多ければ多いほど抗酸化力アップ —

 なすの皮にはアントシアニンの一種であるナスニンなどのポリフェノールが豊富に含まれているため、抗酸化力は果肉の2〜3倍ほども高いと考えられます。なすの皮をむくと、抗酸化成分をほぼ捨てることになります。

 一方、スポンジ状の果肉は90%以上が水分です。栄養成分は少なめですが、カリウムや食物繊維、ビタミンB群などがバランスよく含まれています。睡眠の質を高めるGABAは下部(果頂部)により豊富に含まれています。

 果肉の黒い点々は「食べても大丈夫?」と思うかもしれませんが、これは種子。クロロゲン酸が最も多く含まれている部位なので、多ければ多いほど抗酸化力は高くなります。茶色く変色している場合も問題はありません。

— 「なすが体を冷やす」のは本当? —

 なすは水分が多く、確かに体の熱を下げる食材ではありますが、余分な水分や塩分を排出する「巡りを良くする」というのが正しいかもしれません。

 体を冷やしたい夏は、トマトやきゅうりなどの夏野菜と、体を冷やしたくない季節には、しょうがなどの体を温める食材と合わせるようにしましょう。

— 保存で栄養丸ごと!なすは常温が鉄則! —

 暖かい国が原産のなすは、5℃以下の寒いところが苦手。室温が15℃程度までであれば常温保存がおすすめです。

 水分が蒸発するとしなびてしまうので、ひとつずつラップに包んでおきます。冷蔵庫に入れる場合には、温度が高めの野菜室へ。

— アク抜きで抗酸化効果大ゾン! —

 なすのアクの正体は、ポリフェノールのクロロゲン酸です。これは抗酸化作用のほか、糖分の吸収を抑えて脂肪の蓄積を防ぐとして、糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防効果も期待できる成分。
 そのためアク抜きをしてしまうと、せっかくの栄養が抜けてしまうのです。

— なすで血圧改善&リラックス? —

 2016年に発見された「コリンエステル」は、ほかの食品の1000倍以上の量がなすに含まれている機能性成分で、血圧が高い場合には降下させ、交感神経の働きを抑えてリラックスさせてくれます。
 コリンエステルは加熱に強いので、調理して摂取することも可能ですが、アク抜きすると流出するので注意を。

— なすの抗酸化力は加熱で引き出す —

 なすのナスニンやクロロゲン酸などのポリフェノールが持つ抗酸化性能は加熱することで引き出されます。しかし成分自体は加熱しすぎると減少するので、高温・長時間ではなく低温加熱、または短時間加熱で。

 たとえば、なすの果肉に含まれているGABAは、60℃の低温加熱をすると約40%増加するため、リラックスしたり、睡眠の質を高めたりするGABAの効果を最大にするのであれば、おすすめは「低温蒸し」。