青森県内マメコバチ激減

出典:Web東奥

猛暑に原因があります

 リンゴの花の受粉を担う「マメコバチ」に異変? 例年であれば、リンゴの開花に合わせ、青森県内のリンゴ園ではマメコバチが花粉を求めて飛び回るが、今年の春は姿を見せない園地が多い。受粉の成否は収穫量に直結するだけに、生産者はマメコバチの減少に頭を悩ませている。関係者は「昨夏の猛暑が影響したのでは」と懸念する。

 「今年はマメコバチの姿をほとんど見ない。こんな事態は初めてだ」

 弘前市如来瀬で20年以上にわたりリンゴを作り続ける西澤幸清さん(75)がため息をついた。西澤さんは毎年、園内などでマメコバチを飼育しているが、今年は巣の中で繭の状態で死んでいるマメコバチが多いという。

 リンゴ栽培では、開花後の受粉にマメコバチを使う農家が多く、農作業の省力化に貢献してきた。県などはマメコバチが少ない場合に人工授粉を勧めているが、生産者の高齢化でままならない場合も多い。受粉がうまくいかないと実がならず、収穫量が減少する恐れがある。

 県りんご協会(弘前市)には、今月中旬ごろから「マメコバチが飛んでいない」との問い合わせが県内各地から寄せられている。

 同協会の担当者は「マメコバチは成虫になると暑さに弱い」と前置きした上で「昨年は暑さでマメコバチの成長が7~10日間早まった。成虫になったタイミングで猛暑が襲い、死んでしまったのではないか」と語った。

 全国トップクラスのリンゴ出荷量を誇るつがる弘前農協(本店・弘前市)の管内でも、生産者の多くが受粉にマメコバチを使っている。

 同農協の尾崎高広指導部長は「結実量が少ないと、本来は摘み取り対象の実も残すことがあるので、品質に影響が出ることが考えられる」と語った。

 県産業技術センターりんご研究所(黒石市)の石栗陽一・総括研究管理員も「今年はマメコバチが特異的に減少している。昨夏の猛暑が影響した可能性はある」としつつ「マメコバチの個体数自体が少なく、そうした仮説を実験で確かめることも困難な状況だ」と説明した。

 石栗さんは対策として「7月上旬にはマメコバチの巣箱を小屋の中など涼しいところに保管するのが有効」と話した。天敵のダニによる被害を防ぐため、繭を水道水で洗うのも効果的だという。