大絶賛!昼夜の寒暖差が育む「嶽だけきみ」

出典:青森のうまいものたち

 

 「嶽きみ」は、青森県弘前市の岩木山の山麓に位置する嶽地区で栽培されるトウモロコシです。「きみ」とは、津軽弁でとうもろこしのこと。抜群の甘さと食感の良さから、県内はもとより全国的に人気を呼んでいます。

岩木山麓、標高400~500メートルの高原で栽培

 岩木山麓の嶽地区で、降り注ぐ真夏の太陽のもと、見渡す限り続く嶽きみ畑の向こうには岩木山。嶽きみの穂を揺らして、高原にすがすがしい風が吹いています。

「ここ嶽地区は、標高400~500メートルの場所にあるので、お盆を過ぎた頃から、日中と夜間の温度差が10度以上にもなるんですよ。その寒暖差が、最高の甘さを生み出すんです」と、加賀谷さん。嶽きみの旬は、8月中旬~9月下旬。糖度は、メロンよりも高い18度以上で、さらに9月末頃になると20度にもなるといいます。

地域団体商標として登録され
全国ブランドに

 嶽地区で、原野の開拓が始まったのは、第2次世界大戦後のこと。樺太から引き揚げてきた入植者たちは、酪農経営のかたわら、試行錯誤しながらさまざまな農作物の栽培に取り組んだといいます。1961(昭和36)年には、家畜の飼料用としてトウモロコシの栽培が始まりました。嶽地区特有の寒暖差のある気候や、水はけの良い火山灰土壌が育むトウモロコシの味は評判となり、食用トウモロコシとしての栽培面積が増えていきます。

「私が子どもの頃は、農家が沿道に店を出し、薪ストーブの鍋でトウモロコシをゆでて販売していました。そのうち、お客さんの間で、嶽で売っているきみがおいしいと評判になり、あちこちから買いに来るようになったんです」。

 その後、栽培や管理の工夫・改良が進められ、「全国一、甘くて食感が良い嶽きみ」として知名度が高まっていきます。2007(平成19)年には、地域団体商標として登録されました。

 嶽きみは、1株に1本だけ実をならせます。雨風などで株がなぎ倒されると、そこから病気が広がってしまうこともあるため、収穫を間近に控えた時期であっても、撤去して廃棄処分にせざるを得ないといいます。また、山間部ということもあり、サルやクマなどの被害から守るために電気柵を設置するなど苦労も絶えません。部会のメンバーたちは、嶽きみブランドと産地を守るために、協力しながら活動に取り組んでいます。

ゆでるよりも断然おいしい!
電子レンジ加熱がおすすめ

 嶽きみの収穫は、夜明け前から行われます。日が昇る前の寒い時間が、一番甘くて栄養価が高いからだといいます。
「日中、気温が上がると、嶽きみの芯が熱くなって鮮度が落ちていくんです。ですので、買ったらすぐに皮付きのまま、冷蔵庫に入れるのがベスト。調理する時は、鍋でゆでてもいいのですが、せっかくの旨味が逃げてしまうので、電子レンジで加熱するのがおすすめ。皮をむいてひげを取ったら、水にくぐらせ表面に塩をまぶして1本ずつラップでくるんでお皿にのせて加熱してください。加熱時間の目安は、1本だと500Wで約5分、2本だと約7分。粗熱が取れたらラップを取って熱々をどうぞ。また、実を包丁で薄くそいで、カレーやシチューに入れても最高においしいですよ。昔、うちのおふくろがよく作ってくれたのは、包丁でそいだ嶽きみに、片栗粉、牛乳、黒ごまを合わせた衣をつけて、かき揚げ風にしたもの。小麦粉だとスイーツのようになるので、片栗粉を使うのがポイントです」。

通称「嶽きみロード」で、朝獲りの
嶽きみを満喫

 毎年、お盆の頃から9月まで、岩木山の百沢地区から嶽地区にかけての県道3号沿いには、嶽きみの直売所が数多く立ち並び、通称「嶽きみロード」とも呼ばれています。生はもちろん、ゆできみなど、朝獲りの鮮度抜群の嶽きみを求めて長蛇の列ができるほどの観光スポットになっています。初秋のさわやかな空気に包まれて、アツアツの嶽きみを味わってみませんか。