【特A米】食味ランキングから見る、今注目の銘柄

 
出典:MINORASU

 

特A米となるような人気品種で収益アップ

 全国で米の品種開発がしのぎを削り、各産地から続々と新品種が生まれる昨今、主食用米の作付けは、地域に適した「売れる米」を見極めて品種を選ぶことが重要です。

 米の食味ランキングは、食味官能試験に基づき、一般財団法人 日本穀物検定協会が毎年発表しています。食味試験の結果は、5段階でランク分けされ、「特A」が最も食味が優れた評価です。

 食味官能試験は、専門の食味評価エキスパートパネルが、「外観」「香り」「味」「粘り」「硬さ」「総合評価」の6項目について、基準米(複数産地のコシヒカリのブレンド米)と試験対象米を比較・評価します。

 食味試験の結果は、「特A」「A」「A’」「B」「B’」の5段階にランクされ、基準米よりも特に食味に優れたものに「特A」が与えられます。

 道府県の推奨品種や作付面積が一定の基準を満たすものが、食味ランキングの対象産地品種となります。

 現時点で最新となる令和4年(2022年)産米では、東京都・大阪府・沖縄県を除く全国44道府県の152産地品種がランキング対象でした。そのうち、特Aの評価を受けたのは40産地品種で、令和3年(2021年)産の42産地品種に比べて減少しました。

 特Aが減った原因としては、8月から9月にかけての登熟期に台風や線状降水帯の発生などの天候不順による被害を全国的に受けたことが考えられます。

 令和4年(2022年)産の米の食味ランキングでは、「ゆめぴりか(北海道)」「彩のきずな(埼玉県)」「さがびより(佐賀県)」など20産地品種が、3年連続で特Aを獲得しています。産地が一丸となって品質向上の努力を続けていることがこの結果につながったと考えられます。

— 食味ランキングで特Aを獲得! いま注目の品種 —

コシヒカリ・にこまる・つや姫・きぬむすめ・ヒノヒカリ

はれわたり(参考品種)
 「はれわたり」は、青森県産業技術センター農林総合研究所が育成し、2021年に品種登録出願・2023年に全国デビューを迎えた新品種です。

 青森県で広く栽培されてきた「つがるロマン」の作付面積減少に伴う「まっしぐら」への作付偏重の改善や、県南地方でも栽培可能な良食味・高品質米を求める現場の要望を叶える品種として育成されました。食味は良好で、胴割粒の発生が少なく、栽培特性に優れた品種です。

「はれわたり」は、比較品種「まっしぐら」「つるがロマン」と比較した場合、出穂期・成熟期は「まっしぐら」と同程度で、柔らかく粘りがある炊飯米の食味は良好です。

 玄米収量は「まっしぐら」「つるがロマン」と同程度かやや少ないですが、玄米品質は「まっしぐら」を上回り「つるがロマン」と同程度であり、胴割粒の発生は「はれわたり」のほうが「まっしぐら」「つるがロマン」よりも明確に少ない特長があります。

「はれわたり」の概要

  • 栽培適地:青森県内全域(県南地域北東部・津軽半島北部を除く)
  • 早晩性:「中生の早」
  • 耐性・抵抗性など:耐倒伏性「やや強」、障害型耐冷性「強」、葉いもち圃場抵抗性「強」、穂いもち圃場抵抗性「極強」