出典:市川種苗
発芽は水・温度・空気(+光)という三条件に支配されると繰り返し述べてきました。種子は呼吸しませんから(空気は必要因子ではないということ)、 種子の状態で発芽のスイッチが入らぬまま生き続けることができるか否かは水・温度により支配されるのです。
当然発芽してはいけないのだから、 低温かつ低湿の状態であれば長く保存できることは論理的にも明らかなので、種子の保存を行なうときは、できるだけそのような方法がとられています。
日種協の種苗読本によると、常温であれば50%以下の湿度を保っていた方が、冷蔵庫の中程度の低温でドアの開閉や天候の変動などによって 湿度が日々変化するする環境条件より保存種子の寿命は長いという結果が出ています。だから、海苔の瓶などの密閉容器で生石灰やシリカゲルを 入れた状態で種子を保存すると発芽力が落ちにくいようです。
ただし、種子には持って生まれた性質として、寿命が長い長命種子と、寿命が短い短命種子とに分類されます。したがって、短命種子をいくら 低温乾燥状態で保存してもすぐ発芽力は落ちてしまうのです。
《長命種子》ダイコンやカブやハクサイや菜類などのアブラナ科、キュウリやカボチャなどのウリ科、毛の着いたままのニンジン。
《短命種子》種子は大きいけど含水率が変化すると急激に死んでしまうマメ科。シソ、ネギ、タマネギ、毛とりのニンジン。
※コート種子はコート加工時に水分に触れるのでどうしても短命となってしまいます。