出典:マイナビ農業
成長に影響を与える現象
「アレロパシー」という言葉を聞いたことはありますか? あまりなじみのない言葉かもしれませんが、実は家庭菜園でも生かせる自然の仕組みのひとつです。アレロパシーとは、植物が自ら化学物質を放出して、他の植物の発芽や成長に影響を与える現象のこと。上手に利用すれば、雑草の抑制や害虫の予防など、農薬に頼らず自然の力を生かした栽培が可能になります。
この作用は、他の植物の成長を抑制することもあれば、逆に促進することもあります。 日本語では「他感作用」とも呼ばれ、ギリシャ語の「互いに(allelon)」と「降りかかるもの(pathos)」を組み合わせた言葉に由来します。
この働きは、植物同士の静かな「やり取り」のようなもので、例えば「自分のそばにはあまり他の植物に育ってほしくない」といったメッセージのように機能します。もう少し分かりやすく言えば、ある植物が土や空気中に放つ物質が、近くの植物の発芽や生育にプラスまたはマイナスの作用をもたらす現象が、アレロパシーです。
基本的に影響を与える物質は葉や根、茎などから放出され、それが雨水に溶けたり、土壌に浸み込んだり、空気中に漂ったりして、周囲の植物に届きます。そしてそれを受け取った植物は、種子が発芽しにくくなったり、芽の伸びが悪くなったりすることがあります。逆に、少しの刺激が成長の助けになることもあり、必ずしも「悪い影響」ばかりではないのがアレロパシーの特徴です。
クルミもアレロパシー作用があることで知られていて、葉や根から出される成分が、周りの植物の発芽や成長を抑える働きをします。そのため、クルミの木の下では他の草や木があまり育ちません。
ヘアリーベッチはマメ科の植物で、土にすき込んで肥料として使う緑肥作物として栽培されることも多いのですが、同時に、雑草の発芽を抑える働きがあることでも知られています。このように、植物がもともと持っている化学物質が、周りの植物にさまざまな影響を与えているのがアレロパシーの特徴です。
コンパニオンプランツはアレロパシーの活用方法の一種であるという考え方もあり、実は家庭菜園でも身近な存在なのです。
有名なコンパニオンプランツの例を挙げると、ナスとマリーゴールドや、トマトとバジルなど、さまざまな組み合わせがあり、効果もさまざまです。