先日、私が通う北海道大学水産学部の実習で、遡上するサケの調査を行いました。
サケ科魚類は北半球の北方域全域で川から海までを生活圏とし、世界中で多くの人に愛されています。その一方で、研究対象としても興味深い魚です。なぜ海に降りるのか? 地図を持たずにどのように海を旅し、生まれた川へ戻って来るのか? 繁殖様式や生活史の多様性はなぜ進化したのか?
近年では、「サケの帰ってくる川」は河川環境保全のシンボルにもなっています。
海の長い旅から命を懸けて故郷の川へ帰り、次の世代へのバトンを渡し森の栄養となる姿を目の当たりにすると、長い旅をしてきたその一生を考えさせられ、思わず応援したくなります。
このつながりをもっと実感できる場所が、知床です。
北半球で最も南まで押し寄せる流氷が、生命の出発点です。
海水が凍る海では、氷から押し出された栄養分に富んだ冷たい水が作られます。春になると太陽の光を受けて植物プランクトンが大増殖し、それを食べる動物プランクトンも豊かに育ちます。
オホーツク海は、まさに流氷と栄養分の生産工場! この豊かな海には、たくさんの動物たちが集まります。
この海でたくさんの餌を食べて成長したサケたちは、いよいよ産卵のために生まれた川へ戻ります。
川を上るサケは餌を食べず、産卵のためだけに泳ぎます。産卵場にたどり着くまで、何度も立ち止まりながらも力を振り絞って泳ぐ姿、なんか尊くないですか? 私はこの記事を書きながらちょっと泣きそうになっています。
産卵場を目前にして力尽きたり、ヒグマに捕らえられたりして道半ば命を落とすことも……。ヒグマが脂の乗った身やイクラなどのおいしい部分を食べ、残りも他の動物たちの胃の中に収まります。
産卵を終えたボロボロの体はシマフクロウ、キタキツネなどの食料になり、最後は森の栄養となります。
海の長い旅から帰ってきたその体のすべてが森の命へつながっているんですね!
出典:Qquizknock

