津軽のマグロは億越えの黒いダイヤモンド

「大間マグロ=黒いダイヤモンド」なぜ?

 1月5日、東京の豊洲市場において新年の風物詩ともいえるマグロの初競りが行われ、青森県大間産のクロマグロに5億1030万円という史上最高値が付いて大きな話題を呼びました。

 クロマグロはそもそもが「黒いダイヤ」とも呼ばれる高級食材ですが、その中でも大間で取れた「大間まぐろ」はブランドと食材としての質の高さから特別な存在といえるでしょう。大間産クロマグロは過去の初競りでも億単位の値が付いており、2013年には1億5540万円、2019年には3億3360万円という金額で競り落とされています。

 大間町は、本州最北端・下北半島の先端に位置する港町です。町の目前に広がる津軽海峡には、複数の海流が流れ込むことでプランクトンが豊富に発生し、マグロに限らず、イカやイワシなど多様な魚種が集まる好漁場が形成されています。また、漁場から港までの距離が数kmと近く、漁から水揚げまで短時間で行えるという地理的な利点もあります。

 この恵まれた海域で水揚げされた良質な天然クロマグロが、「大間まぐろ」として市場に流通しているのです。

 いまでこそマグロで有名になった大間町ですが、かつては観光地としては無名に近い存在でした。しかし、2000年にNHKの連続テレビ小説『私の青空』で大間のマグロ漁師が取り上げられたことで知名度が上がり、そこから町自体がマグロを主体にした観光事業をスタートさせたことでブランドが確立されていきました。

 2007年にはテレビ朝日がテレビドラマ『新春ドラマスペシャル・マグロ』が放送。主演の俳優・渡哲也さんが「マグロ!ご期待下さい!」と言うだけのシンプルで特徴的な番組宣伝CMは、現在でもネットミームになるほど話題となっています。

 こうしたメディア露出が重なったことで、「大間=マグロ」というイメージは全国で認知され、ブランドとしての地位が確立されていきました。

 大間漁業協同組合によると、大間のマグロ漁は針と糸を使った一本釣り漁で行なわれており(夜間は延縄漁)、これは一般的な網漁と違って引き上げる時に魚の表面を傷つけにくい漁法となっています。

 釣り上げられたマグロは速やかに血抜きと生〆作業が行なわれ鮮度を維持するために船内で氷入りの塩水プールに沈められます。

 漁協に水揚げされると、即座に計量と記録が行われ、マグロ一匹ごとに個体識別の通し番号が割り振られます。その記録には、水揚げ日時だけでなく、どの船が、どのような漁法で漁獲したかといった情報までが厳密に管理されているのです。

 ここから出荷されるマグロの頬にはブランドを示す「大間まぐろ」のロゴ入りのシールが貼られていますが、それはブランドをアピールするだけでなく、このような大間の漁法や漁協の体制に裏打ちされた信頼の証明書ともいえるでしょう。

 大間マグロの味の良さを支えるもうひとつの要素が、冷凍を行わない出荷体制であることが特徴です。生〆作業後、水揚げされたマグロはマグロ箱と呼ばれる氷を敷き詰めた専用の輸送ケースにいれられます。これは、鮮度を落とささず冷凍はせずに出荷するために考え出された最適な方法となっています。

 最短では早朝に水揚げされたマグロがそのままトラックで輸送され、翌日には東京の豊洲市場に運ばれて競りに掛けられることもあるそうです。このスピーディーな物流も、「大間マグロ」のブランドを支える欠かせない要素なのです(一部は販路の関係で冷凍出荷される場合もあり)。

 
出典:乗り物ニュース