青森県の伝統野菜 笊石かぶ(ざるいしかぶ)

出典:あおもり産品販売促進協議会

 

「筒井(つつい)紅(あか)かぶ」
「笊石(ざるいし)かぶ」

 青森市には「筒井(つつい)紅(あか)かぶ」、「笊石(ざるいし)かぶ」という2つの伝統野菜があります。

「筒井紅かぶ」は、主に筒井地区で栽培され、皮は濃い赤色で茎まで赤く、内部はほんのり赤くて、一部濃い赤色の部分があります。食感は硬めで、生で食すとやや辛味があり、加熱すると甘みが出ます。酢漬けにすると鮮やかな赤い漬物になるのが特徴です。

「笊石かぶ」は、主に久栗坂地区で栽培され、同地区が「笊石」と呼ばれていたことが名前の由来と言われています。皮は濃い赤色から紫色で、茎は緑色、内部は白く、一部ピンク色の部分があります。食感はやや硬めで、生で食すと甘みがあり、酢漬けにするときれいなピンク色で独特の辛味が出ます。

この2つのかぶは、津軽の郷土食である赤かぶ漬けの原料として戦前から栽培されてきました。

 青森市で戦前から栽培されている伝統野菜「笊石(ざるいし)かぶ」の収穫作業が25日、同市久栗坂の畑で行われた。笊石かぶは生産者の高齢化などで消滅の危機にひんしており、市が本年度から栽培支援に本腰を入れたばかり。生産者と市職員が力を合わせ、鮮やかに色づいた小ぶりのカブを収穫した。

 笊石かぶは、独特の酸味と食感があり、主に漬物用として栽培されてきたが、市販品種より形がそろいにくく、手間もかかるため、近年は栽培農家が激減。市が今春時点で把握する生産者は1人となっていた。

 市は本年度、栽培支援の経費を予算化し、土壌管理や水やりなど生産に関するデータ収集、生産者向けの講習会に取り組んだ結果、6人が生産することになり、8月に種まきを実施。来年度はさらに1人増え、7人になる見込みという。

 25日の収穫作業は、地元農家の熊谷チヤさん(86)の畑で行われ、自身も笊石かぶを栽培する久栗坂町会役員の柴田修治さん(76)、市あおもり産品支援課の職員らが参加。直径8~10センチほどに実ったカブ約130本を一つ一つ丁寧に掘り起こし、水洗いした上で天日干しにした。

 熊谷さんは「数十年ぶりに栽培したが、無事に収穫できて良かった。食べてみるのが楽しみ」と笑顔。柴田さんは「種をまくタイミングや生育の面で難しいところもあるが、今後も地元で生産する農家を増やしていければ」と力を込めた。