ニホンザリガニは北海道と北東北3県で確認されている体長5センチほどの日本の固有種。水温が低くきれいな水路などに生息するが、水質汚染や外来種のアメリカザリガニとの競合によって個体数が減少。環境省レッドリスト2020の絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)に分類されている。
大館市では、平成29年度(2017年度)から天然記念物「ザリガニ生息地」の再生事業に取り組んでいます。絶滅が危惧される天然記念物指定地水系のニホンザリガニを後世に継承するため、生息地の創出と人工増殖を行っています。
ニホンザリガニは河川流域ごとにDNAが異なるといわれています。大館郷土博物館では、A生息地(大館市内の天然記念物指定地水系)とB生息地(大館市西部)のニホンザリガニを飼育していますが、DNAが混ざらないように、細心の注意を払っています。
また、ニホンザリガニにとって脅威となっているザリガニペストの病原菌が生息地に持ち込まれないよう、生息地に立ち入るときは靴を消毒するなどして慎重に対応しています。この病原菌が持ち込まれるとその周辺に生息しているニホンザリガニが絶滅する危険性があります。この病原菌は特殊なものではなく、大館市内に生息しているアメリカザリガニも保菌していることがPCR検査で確認されています。
生息地保護のため、A生息地、B生息地ともに位置情報は非公開とします。ここでは、B生息地の環境のみ紹介します。この生息地は湧水地から流れ出す小川で、夏でも水温が低く保たれています。針葉樹と広葉樹に囲まれ、水面にはニホンザリガニのエサとなる落ち葉が供給されています。水深は1~3cm、深い所でも5cm程度です。
第1人工生息地
令和元年(2019)11月、大館市内で一カ所目となるニホンザリガニの生息地を創出しました。翌年に個体数確認調査を2回行ったところ2回ともニホンザリガニが約30匹確認されました。周辺の生息地から自然に移り住んできたものと考えられます。その後も令和4年度まで毎年30匹前後の個体が確認されているため、良好な生息環境が維持されていることがわかりました。
第2人工生息地
大館市が2022年度から整備を進めてきたニホンザリガニの第2人工生息地が今夏完成した。南限の生息地として国天然記念物に指定されている市内の水路に隣接する形で整備。市は17年度から生息地の再生事業を進めており、より大規模な人工生息地の整備で個体の定着と保護につなげたい考え。
食べるもの
大館郷土博物館では、エサとして落ち葉と配合飼料を与えています。水温が高い夏はよく食べますが、水温が低い冬はあまり食べません。
弱肉強食の世界
エサをめぐってケンカすることがあります。脱皮をするときは共食いされることがあるので、通常時は1匹ずつ個別に飼育します。
通常時は共食いを防ぐためオスとメスを分けて一匹ずつ飼育していますが、交接をする時期だけ、オスとメスを同じ区画で飼育しました。交接(交尾)をしてメスの腹部に白い精胞が付着していることを確認した後、個別飼育を再開しました。
出典:六郷郷土博物館

