雑草から有用植物への転身;ナギナタガヤ

 イネ科植物に目をくばりながら散歩していると、穂を風になびかせているナギナタガヤ (Festuca myuros L.) の群生によく出会います。茎も葉も穂も細く、高さは50~70センチまでになるスレンダーな植物です。地中海沿岸地方の原産で、明治のはじめに日本に入ってきたのだそうです。学名の中のmyurosはマウスの尻尾という意味ですが、日本ではナギナタガヤといういささか大げさな名前がつけられました。

 この立派な名前にもかかわらず、ナギナタガヤは何の役に立ちそうもない平凡な道ばたの雑草に見えます。しかし、特殊な性質をもつ植物だったのです。ナギナタガヤは1年生の植物で、次代を作るべく一生を終える前に一斉に倒伏し、枯死して土壌を覆い、その下の雑草の繁茂を抑えるという性質を持っていたのです。 ナギナタガヤのこの性質を利用し、除草剤を使わずに果樹園の雑草の生長を抑制する技術が開発されました。この技術を開発したのは、瀬戸内海の島でミカン農園を営む岡野さんご夫妻です。ナギナタガヤは草生管理に役立つばかりでなく、その枯草はミカン農園の土壌改良にも役立っているそうです。(以上、岡野農園ホームページ http://www.mikanen.com/ より。)

 現在は、ミカン以外の果樹でも、ナギナタガヤによる草生管理が行われつつあるようです。除草剤を使わないエコ技術、また除草作業という重労働を省力化する技術でもあります。ナギナタガヤの種は種苗会社により市販されています。

以上のことを念頭におきながら、ナギナタガヤを見ると、この平凡に見える雑草が果樹園の草生管理に大役を果たしていることに驚きを感じます。草はみかけによらぬものです。

ところでこの植物、写真の被写体としてはあまり好ましくない植物です。失敗作ばかりでしたが、なんとかそれらしく写っているものを選んで載せます。

:道ばたのナギナタガヤ:
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【参照】道草の時間