オオナルコユリ(黄精)

日本人がまだ知らない、この薬草の歴史

 4,000年の歴史を持つと言われる中国には、古来より不老不死の薬草があると考えられ、その一つが「 黄精おうせい」という名で各地に伝承されています。

 紀元前2700年頃の中国に、「 神農しんのう」 と呼ばれる伝説上の人物が、自然界のあらゆる動植物、鉱物を自ら服用し、丹念にその薬効を調べ上げた結果、一年の日数と同じ365種の生薬があることを発見し、「 神農本草経しんのうほんそうきょう」を論じました。

 ここで神農は、それ以前の古代から伝承されてきた薬草である黄精(和名はナルコユリまたはアマドコロ)を「上品」に分類し、常用しても害の無い、優れた保健薬・滋養強壮薬であることを証明しました。
 黄精は、西暦500年頃に 陶宏景とうこうけいが神農本草経を発展させて著した薬学書「 名医別録めいいべつろく」に初めて文書として記載されて以降、その後の学術書にも数多く採り上げられ、現在でも中国では薬膳料理や滋養強壮薬の材料として多用され、また漢方薬材として世界に輸出されている薬草です。
この様に、中国では長い歴史を持つ黄精ですが、日本では江戸時代に、東北地方や北陸地方で黄精の砂糖漬けや飴などの加工が一時的に盛んになった以外には脚光を浴びることのない野草でした。

日中両国での黄精の発見

 2003年2月に、私は妻と共に、中国四大仏教名山の一つとされる名勝、 安徽省あんきしょうの九華山きゅうかさんを観光して参りました。山地の多い辺鄙へんぴ な農村で低所得者が多く、名産品と呼べるものも無い九華山では、地元で採取された薬草類、菊花、冬虫夏草とうちゅうかそう 、タケノコの乾物を主に特産品として販売していました。ここで妻が目に留めたのが「黄精」で、上海などの大都市では高価で販売されており、北の人参、南の黄精(中国では北部の朝鮮人参と南部の黄精が2大薬草とされているという意味。)と珍重され、明代の医師で、『本草綱目』等を著した 李時珍りじちんは、 服用すれば補気ぶき 作用があり、髪を黒くして老化を防ぐ 「宝薬」であると称賛したと言うほど有名な薬草だということを私はここで初めて知りました。

 日本では、江戸時代に砂糖漬けの黄精が加工販売されていたことは既に述べた通りですが、九華山では蜂蜜漬けのものが実際に販売されており、人気商品の一つになっていました。

黄精の栽培に向けた試み

 中国の薬学書「名医別録」に記載され、 古くから不老長寿の宝薬の「黄精」と考証されている植物はカギクルマバナルコユリです。 カギクルマバナルコユリは中国雲南省の狭い地域にのみ自生する、極めて個体数の少ない野草のため、近代の中国では、カギクルマバナルコユリと薬効が変わらず、根茎が大型で収穫量を稼げるオオナルコユリやアマドコロに近い品種が黄精として数多く栽培されています。 よって、私もこれに習い、自宅付近で収穫したオオナルコユリの栽培、育成の可否の検討を行いました。

 私の住む地域の気候環境を考慮して再び発芽実験に挑んだところ、野生の個体から採取した種子を、翌年に99%以上の発芽率で発芽させることに成功しました。
 2008年には、発芽実験に成功した実生苗が3年経過し、その翌年以降に発生した苗を加えて合計6,000株を育て、前年秋に収穫した種子が4,000個になりました。
 この後、発芽以降の稚苗の移植と育成管理の技術を確立し、除草と病害虫予防・駆除の知識を習得することができ、今後も毎年実生苗を増やし、問題無く栽培管理が続けられると考えています。
 こうして、当研究所独自の技術により人工繁殖、栽培されたオオナルコユリの生苗が「雪国黄精」です。

日本のオオナルコユリ

 丘陵地や林の木陰などに自生する多年生草本で、北海道から九州及び朝鮮半島に分布します。 丈は大きいものでは1mに達し、茎は少し横に傾き、葉は細長くササの形をしています。 地下茎は節が多く肥厚しており、横に長く這い分岐しています。 花期は5~6月。葉腋から花柄を出し、その先が3~5本に分かれて、緑白色の花が3~8個垂れ下がって開きます。その様子が、米を食べに来た鳥を追い散らすのに用いられていた「鳴子」に似ていたことから、ナルコユリ(鳴子百合)と名付けられました。 若芽は食用とします。
  似た品種にアマドコロがありますが、薬効上はオオナルコユリと同じ黄精に分類されます。外観での区別のしかたとして、ナルコユリの茎は丸く稜がなく、アマドコロは茎の断面が6角形になることから区別ができます。

安徽省に伝わる民話

 昔、ある村の裕福な家庭が一人の女中を雇っていた。女中は女主人から毎日受けるイジメに耐えられなくなり、ある日突然家を飛び出した。
 しかし、家の周辺は深い山で、始めは木の実などを食べていたがすぐに食べ尽くし、野草の葉や根を食べるようになった。そのうちに、白い可憐な花を付けたある植物の根を食べると空腹が癒されるのが分かり、これを常食するようになった。
 ある日の夕方、彼女が山の中で食べ物を探していると、獣の足音が聞こえてきた。それは大きな虎だった。彼女は近くの木に登ろうとして軽くジャンプしたところ、何と20m以上も舞い上がり、木のはるか上の枝に届いてしまった。彼女はこの仙術に磨きをかけ、山から山へと飛び移る飛行能力を習得した。
 後に村では、「最近、山に仙人が出没している」という噂が広がった。「いや、仙人ではなくあそこの家から逃げた女中に似ているぞ」という声もあった。裕福な家の女主人は、これが逃げた女中であると察し、財力に物を言わせ、山から山をすっぽり覆うほど巨大な網をかけて女中を捕獲する作戦に出た。しかし女中はこれを物ともせず、網をすり抜けて逃げてしまった。次に女主人は、女中が好む食べ物を山中に置き、待ち伏せして捕まえる作戦に出た。あっけなく女中は捕まり、女主人は「おまえはどうやってこんな仙術を身に付けたのか」と尋ねると、女中はうつむいて、手に握った白い花の野草を黙って指差した。これこそが不老不死の妙薬としてこの地に伝わる、「黄精」である。

商品のご用命は「雪国黄精

 
出典:雪国黄精