ワラビの根から本物のわらび餅を作りたい

ワラビの根っこから
本物のわらび餅ができました!

 わらび餅を作ることになったきっかけは昨年の夏まで遡る。知り合いが環境保全のために整備している宮寺ふくろうの丘公園を見学させてもらったのだが、そこにワラビが自生していたのだ。

 粉から手作りのわらび餅は長年の悲願だが、そのためには土地所有者の許可が必要。山菜としてワラビを食べるのなら新芽を摘むだけだが、わらび粉を作るとなると根っこを掘らなければいけない。それを許してもらえる場所がなかったのだ。

 ワラビの根を掘っていい場所が見つかった。
 わらび餅を作ることになったきっかけは昨年の夏まで遡る。知り合いが環境保全のために整備している宮寺ふくろうの丘公園を見学させてもらったのだが、そこにワラビが自生していたのだ。

 粉から手作りのわらび餅は長年の悲願だが、そのためには土地所有者の許可が必要。山菜としてワラビを食べるのなら新芽を摘むだけだが、わらび粉を作るとなると根っこを掘らなければいけない。それを許してもらえる場所がなかったのだ。

 公園の端にワサワサと茂るシダ植物、これワラビじゃないですか。

 そんな時に出逢ったのが、この公園に自生するワラビである。これぞ千載一遇のチャンス、掘りたい!

 12月、すっかり枯れたワラビ。

ワラビの根は細かった

 今回もそれなりの覚悟をして臨んだが、川原などに比べれば土がかなり柔らかく、圧倒的に掘りやすい。そのためサクサクと掘り起こせるのだが、肝心の根に澱粉を蓄えている様子がなくて焦る。

 ワラビには芋的な部分は皆無だった。横置きになったゴボウみたいな根から、果たして澱粉はできるのだろうか。

 自生するワラビの端っこ部分を管理者の方と一緒に掘らせてもらった。

 いくら掘っても澱粉が蓄えられる芋的な部分は見つからなかった。

 ワラビを掘って澱粉を精製してわらび粉を作るという行為が初めてなので、何が正解なのかよくわからない。だから楽しいんだけど。

 とりあえず根茎を切って断面を確認してみると、意外なことに白い部分がかなりあって、これなら澱粉が取れるかもという淡い期待が持てた。効率はかなり悪そうだが。

 新作ロールケーキみたいですね。

 試しに白い部分をちょっと齧ってみると(※生食はダメですが)、ヤマイモやレンコンっぽいサックリしつつも粘りを感じる歯ごたえで、苦味やアクはそんなにない。物理的に土がついているので土っぽい味はするが、これは良質の澱粉が取れそうだという気がする。

 とりあえずリュックに入るだけの根っこをいただき、本物のわらび餅作りに挑む。これだけあれば最低でも一人前くらいは作れるだろう。

 効率よく澱粉を取り出すためには、まず細かく裁断する必要がある。たまたま買ったばかりの中華包丁があったので使ってみたところ、硬い根茎がザクザクと気持ちよく切れた。買っておいて本当によかった。

 これを水と一緒に強力なミキサーでガーっと砕き、サラシや不織布の袋に入れて水の中で澱粉を絞り出し、何度も水を変えて沈殿させていく。

 ミキサーで砕いた段階でバナナみたいな甘い香りがうっすらと漂い、そして粘りがあることにかなり驚く。

 この汁をそのまま置いて沈殿させ、上澄みの水を捨てて、新しい水を入れてよく混ぜてまた沈殿させる作業を朝晩繰り返し、五日で沈殿作業を終了とし、ベランダで干す。

 まだ完全に真っ白ではないけれど、多少の雑味があってこその味があるはず。

本物のわらび粉ができあがった

 太陽の力で干すこと三日、こうして出来上がった本わらび粉は235グラム。使った根茎が1622グラムなので、その変換率は14%といったところか。ただの根っこにしか見えなかった状態を考えれば、驚きの歩留まりの良さだろう。

 意外と量がとれたなと思うと同時に、これだけの手間なら本わらび粉が高くても当然だと理解できる。ここまで作業時間だけでもトータル10時間以上、時給1000円なら100グラム4000円オーバーだ。

 こうして手に入れた手作りの本わらび粉で、ようやくわらび餅作りに取り掛かる。使うのがもったいなくて、一か月ほど冷蔵庫に入れて先延ばしにしてしまったが。

 澱粉をとりだすのは大変だけど、調理するのは簡単だ。わらび粉と砂糖と水を混ぜて、加熱して冷まして切るだけ。過去に様々な澱粉で試したお馴染みの工程である。

 これをバットから剥がして切るのだが、餅みたいにへばりついて大変。餅米を使っていないけれど、確かにわらび餅と名付けたくなる粘り。ちょっと水が多すぎたかな。

 素晴らしい色味と透明感。
 とりあえずこのまま食べてみると、砂糖を入れているのでほんのりと甘く、そして遠くでごぼうのような土の属性を感じさせる。さすが根っこ。

 素晴らしいのは食感だ。ヌルンと口に入ってくる食感がすごい。ゼリー状なのに粘りがあり、噛むとモニュンモニュンと歯を包んでくる。澱粉なんて大差ないだろとちょっと思っていたのだが、これは想像以上に違う。

 本格焼酎が素材の味をしっかり残すように、手作りの澱粉もまた然り。あの粘りがある根茎だからこその餅なのだ。これはうまいな。

 きな粉と黒蜜を掛けるともっとうまい。甘い蜜を纏っても本わらび餅の個性は消えない。

 
出典:ディリーポータブル