若い梅農家が産地を守るため
“南高梅”発祥の地であるみなべ町において、梅農家の現状を変えたいと、大学卒業後にUターンし、(株)うめひかりを設立したのが山本将志郎さんだ。
担い手不足という問題に危機感を募らせた山本さんは「若者ができる農業にしていかなくては」と新規就農者を受け入れ、後進の育成に当たっていた。そんな時、「隣町の農家から山の変化を聞いて、他人事ではないと感じました。梅農家は、斜面地や平地に複数の畑を所有しているのが一般的ですが、作業も大変な上に収量も少なくなる斜面地にある梅畑から手放していきます。そうした耕作放棄地が増えれば、土砂崩れなどが起きやすくなります。先人たちが梅畑を開墾してくれたおかげで南高梅のブランドができましたが、僕たちの代では南高梅のブランドを守るために使われていない畑は山にもどしていく必要があると思いました」と語る。そこで山本さんは自社で耕作放棄地を購入し、ウバメガシの森を育てる活動を始める。
また、世界農業遺産のシステムにあるように、県の特産物である梅と紀州備長炭は密接な関係にあり、その備長炭の原料となるウバメガシの成長には20年以上かかる。山本さんは「梅の閑散期に林業や炭焼きができる体制を整え、農家の収入安定にも繋げたい。それがこの産地の維持に繋がると思っています」と語る。働く環境があれば、若い移住者が増えるかもしれない。これらの活動は、町の産業や歴史を守り繋げていくための将来を見据えた投資だった。
出典:和Nagomi

