パナソニックホールディングス(HD)は来年、野菜や穀物の収穫量を増やす農業資材「ノビテク」を発売する。微生物由来の液体で、植物に吹きかけ成長を促す効果が期待される。こうした資材は肥料や農薬とは異なる新分野で「バイオスティミュラント」と呼ばれる。高温や乾燥による不作対策としても注目を集める。パナHDはコメに使えるかも検証中だ。
トウモロコシは最大49%、トマトは44%。パナHDは大阪・関西万博で、ノビテクを散布し収穫がどれほど増えたかを示す実験結果を展示中だ。児島征司プリンシパルリサーチャーは「農家の生産性向上に貢献できる」と期待する。元々、東北大の助教だった児島氏。2018年、パナに転職して微生物の研究を続ける中、水田などにいる「シアノバクテリア」から抽出した成分を植物に吹きかけると、光合成が活発になることに気づき、開発につながった。詳しい作用は研究中だが「バクテリアに含まれる成分が植物を刺激している」とみる。
肥料は植物の栄養分になり、農薬は害虫や雑草を防ぐ効果がある。一方、バイオスティミュラントは植物を刺激し、栄養分の吸収効率を高めたり、暑さ耐性を高めたりする効果が期待される。
「農薬と一緒に散布できるので手間はかからない」と、兵庫県丹波市で特産大豆「黒豆」を生産する岡田裕樹さん(44)。6月に種まきをして、10月に収穫するまでの間に2回、葉に散布する。パナは住友化学と組み、市場に投入予定だ。野菜やコメで100以上の農家と協力して、どの作物でより効果が得られるかなどを調べている。

