果物のおいしい季節、みずみずしいぶどうをたっぷり味わった人も多いことでしょう。しかし、今年6月から異例の暑さに日本列島が包まれ、それから続いた猛暑による農作物への影響が憂慮されていました。
山梨県のぶどう狩り園の「久保田園」の久保田雅史さんは、「7月の高温などにより全体的に粒が小さく軽くなりました。高温で糖度が上がらない、色がつかないなどの影響があります。今年は気温の変化とぶどうの生長のタイミングがずれ、出来に影響しました」といいます。
日本の年平均気温は、1898~2024年の間に100年あたり1.40℃のペースで上昇しています。特にここ数年は記録的な高温が増えています。
温暖化の影響は、農業生産の現場にも変化をもたらしています。ぶどうでも、果皮の色が品種本来のものとならない着色不良、果面の日焼け、果粒が十分に大きくならない、発芽や満開のタイミングが早まることが指摘されています。
たとえば、人気品種の「巨峰」は、満開後50〜92日の平均気温が果皮の色に影響することがわかっていますが、将来温暖化が進み適応策を導入しなかった場合、着色不良地域が大きく拡大してしまうことが予想されています。
ぶどうへの温暖化の影響に詳しい神戸大学大学院農学研究科附属食資源教育研究センター助教の上森真広先生は、「国内の果樹ではりんごや日本ナシで開花期が早くなったことが報告されています。ぶどうでも同様の傾向がみられており、これまでの経験による栽培がうまくいかなくなる可能性がある」といいます。
「2050年までの気温上昇により、現在(2011〜2020年)と比べ、発芽日で1〜3日程度、満開日が4〜7日程度早まることがわかりました。
この程度であれば栽培管理の高度化で対応可能と考えられます。
2050年以降については、温室効果ガス排出が低めを想定している2℃上昇シナリオ(RCP2.6)であれば気温は2050年前後と同じくらいと考えられます。
一方、温室効果ガス排出を高めに想定している4℃上昇シナリオ(RCP8.5)では、栽培管理だけでは対応が難しくなることが予想されます。
そのため、加温栽培の作型の見直しや他の果樹への転換なども含めて検討する必要があるかもしれません」(上森先生)
私たちがおいしく食べられているぶどうは、農家などの努力によって、気候と技術のギリギリのバランスの上に成り立っているのかもしれません。これまでぶどう栽培で保たれてきたバランスが崩れてしまうということは、植物全般への影響も考えなければなりません。温暖化の影響を軽減するためにも、今、私たちができることは何かを考えていきたいですね。
出典:ウェザーニュース

