冬の食べ物と養生         

寒さの中で体を守り、蓄える季節

 冬になると、体が縮こまり、朝起きるのが少し億劫になります。空気は冷たく、日照時間は短く、自然界全体が静かにエネルギーを内にしまい込む季節。暦の上でも、立冬から始まり、小雪・大雪、冬至を経て、小寒・大寒へと向かう冬は「動く」よりも「蓄える」ことがテーマになります。

 中医学では、冬は腎を養う季節と考えます。腎は、成長・発育・老化を司る臓であり、生命力の貯蔵庫のような存在。冬の過ごし方は、そのまま春以降の体調の土台になります。だからこそ、冬の養生は「無理をしない」「冷やさない」「消耗しすぎない」が基本です。

冬の食養生は「温めて、支える」

 冬の食べ物選びで大切なのは、体を内側から温め、腎を支えること。冷たいものや生ものは控え、火を通した料理を中心にします。煮る、蒸す、炊く。こうした調理法は、食材の力をやさしく引き出し、胃腸への負担も減らしてくれます。

 冬におすすめの食材として、まず挙げたいのが根菜類。大根、人参、山芋/長芋、れんこんなどは、体を守り、巡りを助けてくれます。特に大根は、消化を助けつつ、滞りをほどく働きがあり、年末年始の食べ疲れにも向いています。

 豆類や黒い食材も、冬には心強い存在です。黒豆、黒ごま、ひじき、昆布などは、腎と関わりが深いとされ、日々の食事に少しずつ取り入れることで、体の土台を支えてくれます。特別な料理にしなくても、ごはんに混ぜる、和え物にする、それだけで十分です。

冬至は「切り替わり」の合図

 冬至は、一年で最も夜が長く、ここを境に少しずつ日が伸び始める節目です。中医学的には「陰が極まり、陽が芽生え始めるタイミング」。何かを頑張って始める日というより、これからの回復に備える合図のような存在です。

この頃は、かぼちゃや小豆など、体を養い、やさしく甘みのあるものを選び、無理のない食事を心がける。それだけで十分です。

小寒・大寒──寒さが最も深まる時期の過ごし方

 冬至のあとに訪れるのが、小寒と大寒。
 1月5日ごろから始まる小寒は「寒の入り」とも呼ばれ、冷えが本格化し始める時期です。体の表面だけでなく、内側の冷えが目立ちやすくなり、腰やお腹、足元の不調が出やすくなります。この時期は、とにかく冷やさないこと。温かい汁物を一品添えるだけでも、体はずいぶん楽になります。

 続く1月20日から始まる大寒は、一年で最も寒さが厳しい節気。外の寒さに引っ張られて、気力も落ち込みやすい時期です。無理に動こうとせず、睡眠を削らないこと。食事は滋養を意識し、スープ、煮込み、鍋料理など「温かく、消化のよいもの」を中心に整えていきます。

 この頃に体を消耗させすぎると、春になっても疲れが抜けにくくなります。大寒は、体を立て直すための最終調整期間。頑張らないことが、いちばんの養生になります。

冬の不調は「冷え」だけではない

 冬の不調というと、冷えが注目されがちですが、実は乾燥も見逃せません。空気が乾くと、喉や皮膚、腸内も乾きやすくなります。スープや煮込み料理、汁気のある食事は、こうした乾燥対策にもなります。

 また、冬は気分が沈みやすい季節でもあります。日照時間の短さや活動量の低下が影響しやすいため、温かい食事を「一人で急いで食べる」より、「落ち着いて味わう」ことも大切な養生です。食事は、栄養だけでなく、心を温める時間でもあります。

冬は「頑張らない」養生を

 冬の養生は、何かを積極的に足すというより、削りすぎない、使いすぎないこと。夜更かしを控え、冷えを我慢せず、食事を簡単に済ませすぎない。暦に目を向けると「いまは静かに過ごしていい時期なんだ」と、自然と気持ちも緩みます。

 冬にしっかり養うことは、春に元気に動くための準備です。寒い季節だからこそ、体をいたわり、温かいものを選ぶ。その積み重ねが、次の季節を軽やかに迎える力になります。今日の一食が、未来の自分を支えている。そんな気持ちで、冬の食卓を整えてみてください。

 
出典:暦生活