中国の輸出規制への懸念という荒波の中、国産資源への期待は最高潮に達し、国を挙げた採掘プロジェクトが動き出しています。
ニュースが「海底」の可能性に沸く一方で、かつて私たちの足元、日本の「山の中」にも、その夢のかけらがひっそりと眠っていたことをご存じでしょうか。
舞台は愛媛県松山市。標高986メートルの高縄山(たかなわさん)。
2001年、林道脇の花崗岩から採取された小さな鉱物が、2012年3月、国際鉱物学連合によって新鉱物と認定され、「タカナワアイト(高縄石)」と名付けられました。
発見したのは、愛媛大学の皆川鉄雄教授(当時)らの研究チーム。タカナワアイトには「レアアース」に加え、原子力の制御棒にも使われる「タンタル」などの希少金属が凝縮されていたのです。
しかし、これが直ちに「資源大国ニッポン」への切符になるわけではありませんでした。皆川教授は、当時の取材に対し、こう苦笑いを浮かべていました。
(愛媛大学・皆川鉄雄教授(当時))
「2~3日で掘ってしまって、それで終わりだと思う。量的には」
レアアースが含まれていることは事実でも、商業ベースに乗るほどの埋蔵量があるかは全く別の話です。
「タカナワアイト」はあくまで、希少金属が濃縮される地質環境を示す「指標」に過ぎないというのです。
鉱物学を専門とする愛媛大学 大学院理工学研究科の白勢洋平助教もまた、冷静な視点を崩しません。
現在、レアアースの産出で圧倒的なシェアを誇る中国。国際的な資源開発研究の舞台も、オーストラリアや東南アジアが主流だといいます。
国内での資源化には「採掘量」、「安定供給」、そして「放射性物質の処理」など、乗り越えるべき高い壁が存在します。
白勢助教は今回の探査船の活動について、「科学的な知見を得るために非常に重要」とした一方で、「技術革新がないと、資源化できる規模の採掘は見込めない」と指摘します。
探査船の出港は、確かに資源確保に向けた希望の一歩です。
しかし、愛媛の山で見つかった小さな石は、私たちに重要な教訓を残しています。
それは、資源開発に「一発逆転の魔法」はないという現実です。
自然界が数億年かけて隠した宝物は、数十年、あるいは百年単位の地道な科学的探査と技術の積み上げによってのみ、私たちの手に届くものになるのかもしれません。
「国産資源」への道は、まだ始まったばかりです。
出典:TBS News DIG

