食べた桃から発芽、栽培

出典:新しく美しい大人になる

 これまでに私が種から収穫まで至った果樹は桃の木でした。私は桃が大好物なので食べた大きな白桃の種を眺め「この桃の種は埋めたら芽が出るだろうか?」と母に尋ねると「埋めてごらん」と言われ団地の庭の片隅に植えてみました。今から25年以上前の晩夏のことです。

次の年、種を埋めたことすら忘れたころ花壇に見慣れない芽が出現しました。いったい何?って考え葉をよく見ると桃の葉でした。食べた桃が発芽したのです。私は発芽がとても嬉しくて授かった桃を大切に育てはじめました。私の種からの果樹栽培の原点だと考えています。何となく昔話のような筋書きですが本当のお話しですよ。

 その後、桃の苗は大きく育ち高さが2メートルを超える樹木になりました。実生(種から育てる)の桃は生長が早くあっという間に大きな木になりました。発芽から2年目からは開花し3年目からは結実もして収穫をしました。栽培の途中さまざまな人から実生の桃の実は成らないと言われましたがめげずに必ず実が成ると信じ栽培を続けました。

 見事に開花し結実した実を収穫した時の嬉しさは忘れられません。収穫した桃は以前自分が食べ種を得た白桃とは全然違う桃でした。色は桃色ではなくオレンジ色の実を持つネクタリンのような大きさの黄桃が成るようになりました。味は甘く酸味もあり美味しくて頑張って世話をした甲斐があったと感じました。

正に園芸の楽しさのツボを実感する体験でした。団地から転居することになり、桃の木とはお別れしましたが心に残る思い出となりました。将来また桃の木を育てたいと考えています。