色違いの花はどうしてできる?

アサガオの多彩な花色を決める遺伝子

 アサガオは夏の風物詩で、小学生の学習教材としても栽培される身近な植物です。原産地は中南米で、奈良時代に中国を経由して渡来しました。江戸時代の後期になると、「突然変異」によって生まれたさまざまな色やかたちのアサガオ作りが流行しました。その後も流行が繰り返して現在に至り、アサガオは日本独自の園芸植物として発展しています。もともとの原種は青い花を咲かせますが、今では白、赤、紫、茶色など色違いの花や、色々な模様の花が見られます(写真)。また、変化アサガオと呼ばれる、珍しいかたちの品種も愛好家のあいだでは栽培されています。

アサガオの花の色素

 原種のアサガオに見られる青い花色は、ヘブンリーブルー・アントシアニン(HBA:このあとたびたび出てきます)という色素による着色です。アントシアニンはオレンジ色から青色まで、幅広い色の花や果実に含まれる色素です。基本になる構造(アントシアニジン)に糖などが結合して合成されます。結合する分子の種類や結合の仕方は植物の種類によって違うので、さまざまな構造のアントシアニンがあり、花の色彩が豊かなことの理由になっています。アサガオの色素であるHBAでは、基本構造に6つの糖と3つのコーヒー酸が結合しています。

 アントシアニンは多くの酵素反応によって合成されたあと、液胞という細胞の中の袋のような場所に蓄えられます。おなじ化学構造のアントシアニンも、液胞の中のpH(酸性度)や溶けている物質から受ける影響が違うことで、さまざまに発色します。アサガオの場合、pHが弱アルカリ性であることが青い発色に重要です。

花色遺伝子の種類

 アサガオの突然変異を使った研究は、メンデルの法則が日本に伝えられた、およそ100年前にスタートしました。その後、とくに2人の日本人が精力的に研究を進めて、200以上の突然変異をおこした遺伝子を報告しています。これらの遺伝子のうち、10の遺伝子(群)がアサガオの多彩な花色のもとになっています。この遺伝子(群)は、突然変異体の表現型から想像した遺伝子の働きにもとづいて、次のように3つに分類されています。

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参照:日本植物楽器隊