
「世界最大級の花」を咲かせる絶滅危惧植物ショクダイオオコンニャクに国内で初めて実がなった。実らせたのは茨城県つくば市の国立科学博物館筑波実験植物園。めったに咲かない花が二つ続けて咲いた幸運と、悪臭の中での職員の奮闘が、真っ赤な736粒に結実した。順調に行けば、12月中にも実から取れた種が発芽する。
ショクダイオオコンニャクはインドネシア・スマトラ島に自生するサトイモ科の植物。一つの花のように見えるが、小さな花がたくさん集まった「花序」で、高さ約3メートル、直径約1メートルの大きな花を咲かせる。
最初に雌花が咲き、枯れた後に雄花が咲くため自家受粉できない。更に開花は数年に1度の2~3日で時期もさまざまなため、国内では他の株から受粉できたためしもなく、人工授粉に成功した例もない。
10株以上を育てる筑波実験植物園でも、一つの株が2012年から時折咲くのみ。雄花から集めた花粉を数年後に咲いた雌花に付けたり、他園が数カ月前に採取した花粉で人工授粉を試みたりしたが、全て失敗してきた。堤千絵研究主幹(46)は「同じ個体の花粉では受粉しないのか、花粉に寿命があるのか理由は分からない」と言う。
それが5月19日、小さめの株が初めて開花。そして8日後、常連株も6回目の花を咲かせた。堤さんは「きまぐれな植物が同じタイミングで咲いてくれたのはすごいことだ」と声を弾ませる。堤さんら職員3人で20日に一つ目の花から花粉を採取し、27日に二つ目の花に人工授粉した。
実はいずれの作業も生ごみのような悪臭が漂う中で行われた。というのも、臭気を放って動物の死体にわくシデムシをおびき寄せ、受粉を助けてもらおうとするのがショクダイオオコンニャクの特性。27日夜は、長さ約30センチの針金に綿棒を付けた手作りの「花粉スティック」で雌花一つ一つに花粉を付けるのに1時間ほどかかり、服にも臭いが染み込んだ。
6月14日ごろから雌花が少し大きくなっているように見えて「(受粉が)うまくいっているかもね」と担当者同士で話した。24日になると明らかにぷくぷくと膨らんできて「うまくいった」と結実を確信した。「国内で初めてだったので『やった!』と喜んだ」と堤さん。
大きくなった実は直径約4センチ。プチトマトのような見た目だが毒性があると考えられ、食べられない。一つの実に柿のような種が0~3個入っており、園では11月20日から、上の方の熟した実から順に収穫して種をポットに植えている。堤さんは「栽培が難しい植物だが、種から育てるのも楽しみ」と、芽が出るのを心待ちにしている。【信田真由美】
出典:Yahoo!ニュース

