「ムベ」食べると不老長寿に⁉

出典:KYOTO SIDE

  

古代から食べられてきた伝説のフルーツ
「ムベ」食べると不老長寿に⁉

 皆さんはムベとよばれるフルーツをご存じですか? 見た目は紫色、中はゼリー状でトロリと甘く、古代より“食べると不老長寿になる”と伝えられている果実です。そんなムベが京都府と兵庫県の県境、京都府福知山市夜久野町で集団栽培されている。

 ムベはアケビ科ムベ属に分類されるツル性の植物。アケビ科となっていますが、アケビは日本各地に自生する落葉樹なのに対し、ムベは関東以西の暖かい地域に分布する常緑樹です。

 春に白い花が咲き、10月下旬から11月上旬頃に楕円形の実を結びます。アケビは食べごろになるとパカッと割れますが、ムベは割れないんですって。

「むべなるかな」天智天皇が名づけ親!?

 気になるのが不老長寿の言い伝え。その歴史はとても古く、大化の改新を起こした天智天皇(626~671)の時代まで遡ります(古い!!)。
 ある日、滋賀県の蒲生野(かもうの)へ狩りに出かけた天智天皇。そこで8人の子供を持つ元気な老夫婦に出会い「汝ら如何に斯く長寿ぞ(お前たちはなぜ、このように元気なのか?)」と尋ねると、老夫婦は「この地で採れる無病長寿の果物を毎年秋に食べているからです」と果実を差し出しました。
 その果実は食べた天智天皇は「むべなるかな(もっともだ)」と答え、その後「ムベ」と呼ばれるようになったんですって! 現在でもムベの実は皇室に献上されているんですよ。

 しかもムベの葉は成長に伴い3枚、5枚、7枚と「七五三」に増えることから、縁起が良い植物だといわれています。

 休耕田を整地して苗木を購入。集落のほとんどの人が兼業農家とはいえ、初めての植物ということもあり肥料のやり方も何も分からない、まさに手探り状態でした。
 初年度に購入した120本の苗木のうち1本だけは必ず実が付くであろう苗木を2万円で購入し、栽培を始めたところ、1年目は、その2万円の苗木に実が3~5個付いただけ。それでも「面白くて」続けてみたところ……
 翌年は100個、3年目は800個、そして昨年は2500個も実が付き、地元の道の駅「ドライブインやくの」に出荷したり、収穫祭まで催したり出来るようになったのだとか。

 そして、この地で栽培されたムベの名前を、天智天皇と、夜久野町のかつての地名・天田郡夜久野の頭文字から一字ずつもらい「天夜(あまや)」と名付けました。

ムベを食べてみよう

 食べごろは、軽く押してみて耳たぶのような柔らかさが目安。中はゼリー状の果肉と無数の黒い種が詰まっていて、アケビのようにゼリーを種ごと口に含んで、種を出していただきます。
 味は甘いバナナのような、ちょっと南国系の味。ほのかな甘さは、サトウキビに近いでしょうか。種が多いのが難点ですが、これは食べたら元気になりそう!

 ところで、このムベが「不老長寿の果物」と伝わる理由を科学的に解明しようと京都府立大学が解明研究をはじめたそう。一体、どんな結果が出るのか楽しみですね。