自然栽培みかんと一般みかんの生育の違い

出典:自然果樹園

 

自然栽培温州みかんとは?

 柑橘王国と呼ばれている熊本県の中でも、玉東町は「みかんと史跡の里」をキャッチフレーズとしているほど有名なみかんの産地。

 玉東町では数多くのみかんの品種が栽培されていますが、ほとんどが農薬を使用して育てられています。

 果樹栽培において、農薬や肥料の使用はもはや常識です。これらを使用しなければ、虫や病気がはびこってしまうと考えられているからです。

 そのような中、温州みかんの栽培歴40年以上の池田さんは、現在では農薬や肥料を使用しない自然栽培でみかんを育てています。

 池田さんの自然栽培の最大の特徴は「草との付き合い方」。

 一般的にみかん園では除草剤を使用しますが、池田さんは除草剤を使用せず、さらには草を刈らず、倒すだけの方法で農園管理をしています。

 また、池田さんのみかん園にはクモ等多様な生物が棲みついています。クモは他の虫を食べてくれる益虫となって農園を守っているんですね。この点も池田さんの農園の特徴の一つです。

干ばつを受けた熊本の温州みかんの出来は?

 実はみかんの出来は、前年の10月頃にどれほど花芽が付くかで、おおよそ決まるといわれています。

 熊本では、昨年9月から10月に起こった干ばつにより、たくさんのみかんの花芽がダメージを受けてしまいました。そのため今年は花がほとんど咲かず実も成らなかったため、今年は温州みかんの収穫量が非常に少なくなりました。

 実際にみかん園が並ぶ山を見ると、例年は黄色やオレンジに色付いているみかんが見えるのですが、今年は少ないのが一目で分かりました。

 そのような中、農薬や肥料を一切使用しない池田さんの温州みかんはどうなっているのか。実際に池田さんの農園を訪れて見させて頂きました。

自然栽培温州みかんの出来はどうだったのか

 池田さんの自然栽培温州みかんの出来を見せていただきましたが、なんとしっかりみかんの実が色付いていました。

 池田さんの農園でも、同じくやはり干ばつは受けています。では、他の農園と何が違うかというと、土壌の水分がしっかりと保たれていた点だと推測しています。

 池田さんは草を刈らないので、土壌には水分が保たれています。そのため、みかんは乾燥に耐えることができ花芽にダメージを受けなかったのでしょう。

 池田さんの自然栽培温州みかんの樹は、土壌環境が異なっているために異常気象に対する抵抗力があるんですね。

自然栽培温州みかんの味が安定していると言われる理由

 自然栽培温州みかんは、肥料を使用せずに育てられるため、「美味しくない」「甘さが足りない」と思われる方もいるかもしれません。

 しかし、異常気象の年でも味は安定しやすいと言われています。

 その理由を池田さんに伺うと「肥料を使用しないために、植物体の窒素分が少なくなるから」とのことでした。

 これだけ聞くと分かりませんよね?(私も分かりませんでした)説明を致します。

 一般的に肥料には、植物の成長を促す窒素分が含まれています。しかし、窒素分を吸った植物体は体内の窒素分を薄めるため、雨天時に多くの水分を吸収するそうです。そのため味が薄くなってしまうといわれています。

 一方、肥料を使用しない自然栽培で実ったみかんは、雨が降っても多くの水分を吸収しようとしません。そのため、しっかりしたみかんの味を維持しやすいといいます。

 自然栽培は、実の付き方と味、両面において環境の変化に強いといえそうです。

 最後にぜひ、こちらの動画をごらんください。池田さんの温州みかんの出来具合がよくお分かりになるかと思います。

自然栽培みかんと一般みかんの違い

 自然栽培農家さんの田畑を見て回ると、新しい発見や常識とは違う光景に出会うことができます。

 今回訪れた池田さんの農園でも、「除草をしないから実が成る」という、一般栽培の常識を覆す現象を見ることができました。

 池田さんは周りの人と違うことをしているから、違う結果が出ているのです。

 とはいえ、自然栽培みかんが全ての面で優れているのかというとそうではありません。
 全体的に豊作の年には収穫量の面では、一般栽培みかんより収量は劣るでしょう。
 農園の管理においても、農薬を使用しないので大変な面もあるでしょう。