出典:マイナビ農業
これまでのカボチャ品種が持ち合わせていなかった、減農薬栽培が可能なレベルでの、高度なうどんこ病耐病性を付与することで、特別栽培下でも多収が期待でき、良好な食味を持ち合わせた品種の育成を目指しました。北海道、ニュージーランドなど主要な産地で試作を行った結果、主力品種「えびす」並の多収性と食味のよさ、減農薬栽培実現によるコスト削減を提案できる点を確認し、「グラッセ」と命名して発表。普及が始まり、高い評価を得ています。
本品種は草勢がやや強く、水田から転換圃場のような不良環境気味な条件下でも、栽培に取り組める品種です。
特許(第6306252号)を取得した本耐病性は、これまでにないハイレベルな耐病性と認められました。ただし完全抵抗性ではないため、発病状況によっては薬剤防除が必要です。
栽培後半は、本耐病性により健全な葉の状態が非常に長く続き、果実肥大や食味向上をもたらします。
「グラッセ」の草勢は やや強めで安定します。つるの伸び始めは節間がやや短く生育が進むにつれ、長い節間となります。雌花の着生頻度はやや少ないですが、着果と肥大力も良好なため、多収が見込めます。
果形はへん平で、条線は太めに出ますが、果皮色は濃い黒皮で貯蔵中の色あせも少ないことが特長です。また、果肉色は濃黄色に仕上がり、カット販売に有利です。
肉質は粉質と粘質の中間で、甘みも強く青果用として良食味で加工適性の高い「えびす」と同様、煮崩れしにくい特性があります。
草勢が安定して着果もよいため、放任栽培も可能です。ただし、熟期のそろいを重視する場合は、子づる2本仕立てが適します。
収穫適期は、部で判断します。縦割れしたコルクに横割れが入り始めれば、収穫の目安です。本品種は果梗部の色が薄いため、色での判断には向きません。
また、うどんこ病に強いため、葉が健全な状態で収穫期を迎えますが、収穫適期は交配後45〜50日を目安とし、むやみに収穫を遅らせることは避けましょう。遅れて着果した場合は、必ずコルクの割れで収穫を判断します。
圃場の中で10果を無作為に選び、内5果が、前述の収穫目安に達したタイミングで行うとよいでしょう。
収穫後は、直ちに風乾・キュアリングを行うと、貯蔵性が向上します。