出典:となりのカインズさん
ミミズには手や脚がありません。それどころか目(退化して視力はないが目の跡と思われる部位はある)・鼻・耳もなく、あるのは口とお尻と内臓だけです。
体はいくつもの節が連なった構造で、伸びたり縮んだりしながら土の中を移動します。この移動方法を「蠕動(ぜんどう)運動」といい、土の中を移動するにはとても効率が良いです。
ミミズの好物は落ち葉や堆肥などの植物性の有機物ですが、昆虫のフンや死骸など自然界にあるものは何でも食べて分解してしまいます。
また、繁殖方法も独特で、1匹のミミズがオスとメスの両方の器官を持っている「雌雄(しゆう)同体」という体のつくりをしています。2匹のミミズがいればどちらも卵を産むことができるというワケです。
実はミミズは何種類存在するのか分かっておらず、日本国内には約200〜300種、世界では3000種程度が存在するのではないかという専門家もいます。
その中でも日本にもっとも多く生息しているのは「フトミミズ」です。フトミミズは全長10cm前後、太めの体で土の中に巣穴を作って暮らしています。畑や家庭菜園で見られるのは、ほとんどがフトミミズです。
春になると卵からかえり、夏に卵を産み、秋頃に寿命を迎えます。繁殖力は比較的弱く、1つの卵胞から1匹〜2匹生まれ、一生で産む卵の数は数十個ほどです。
シマミミズは全長10cm未満のものが多く、フトミミズより細く、体のシマ模様と、フトミミズと比べると少し赤み掛かった色が特徴です。巣穴を作ることはなく、地表付近で未熟な有機物を食べて暮らしています。
腐った食べ物や生ごみも好んで食べるため、コンポストに入れて分解を促す「ミミズコンポスト」でも活躍しています。
シマミミズはフトミミズよりも繁殖力が強く、越冬も可能で寿命は3年ほどです。
ミミズは有機物を食べながら常に移動しており、ミミズが通った後はたくさんの空間ができます。すると空気や水がよく通るようになり、土壌の通気性・排水性が改善されます。
また、特徴的なのがミミズの排泄物です。ミミズは窒素を豊富に含んだおしっこを身にまとって移動するため、ミミズが通った後は、土壌に大量の窒素が供給されます。
さらに、フンにはアミノ酸や酵素、カルシウム・マグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれており、フンをすることで作物が健康に育つ土壌に変わっていきます。
このように、ミミズは移動してフンをするだけで、高い土壌改良効果が期待できる有益な生き物なのです。
ミミズは土の中にある有機物を食べて分解してくれる益虫です。有機物の中には土壌微生物も含まれ、食べられた微生物はミミズの腸の中で増殖します。その後、増殖した微生物はフンとして排出され、土壌に棲みつき、フカフカな団粒構造の土を作るのに役立ってくれます。
また、ミミズのフンは多孔質の形状なので、微生物にとって最適なすみかとなります。人間にとっても微生物にとっても、ミミズはありがたい存在なのです。
植物を育てるには肥料が必要ですが、植物が吸収しづらい肥料分があるのをご存知でしょうか?
それは「リン酸」です。リン酸は、植物の実付き・花付きをよくするのに重要な栄養素ですが、肥料を与えても10%ほどしか植物の栄養になりません。90%は土の中に残り、ムダになってしまうのです。
そこでミミズの出番です。ミミズはリン酸が含まれた土を食べます。ミミズの腸内ではリン酸を植物が吸収できる形に変換してくれます。その後、フンとして排出されると、植物がリン酸をムダなく吸収できるようになるのです。
ミミズは肥沃な土壌を作ってくれたり、生ごみを分解して堆肥にしてくれたりと、私たちの暮らしを豊かにしてくれる大切な生き物です。
多すぎても少なすぎても良い土とは言えず、堆肥や肥料の量を適正に保つことで、ミミズの数も適正にできます。見た目が苦手な人も多いと思いますが、ミミズの役割を知り、上手に土づくりをしていきましょう。