出典:新潟日報
新潟県魚沼地域で「農家レストラン」が増えている。地元で昔から伝わる素朴な料理や、ご当地ならではの食材を使った珍しい品々が人気で、県内外から多くの客が集まる。農家の皆さんが丹精込めて作った料理を紹介する。
新潟県南魚沼市塩沢のうおぬま倉友(そうゆう)農園が運営する「おにぎり屋」は、自社栽培米にこだわった手作りのおにぎりを販売し、県外客を含む大勢の客を集めている。手頃な値段ながら食材にこだわり、1日で最大1500個ほど売れるという。手軽に食べられるおにぎりを通じて、塩沢産米のおいしさを広めている。
うおぬま倉友農園は2003年に設立。南魚沼市内の塩沢地区の約25ヘクタールでコシヒカリを栽培している。自社栽培米のおいしさをPRしようと、06年におにぎり屋をオープン。口コミで県外からの注目度が高まり、休日は1時間待ちの行列ができるほどの人気店になった。
通常の販売は、甘辛い味が癖になるかぐら南蛮みそや、店舗で調理する焼きたらこなど12種類。土日曜祝日は、北海道で取れた鮭で作った塩引き鮭や、はさがけ米の塩むすびといった限定メニューも加え、140〜340円で販売している。
新米が出る前は、新米同様のうまみを味わってもらおうと、もみや玄米のまま雪室熟成させた米を使う。といだ後、2時間以上冷蔵してから炊いて甘さを引き出したり、炊いた後は20分ほど蒸らしたりと、工夫を重ねる。
休日は1200個の販売を目標にしており、スタッフは慣れた手つきでおにぎりを握る。約120グラムのご飯を口当たりが良くなるように素早く、力をかけず優しく形にする。店舗の運営を担う部長の木村茂子さん(63)は「休日の開店前は、1時間半で1人当たり80個以上は握る」と語る。
5月にイートインスペースを備えた店舗を、おにぎり屋の隣に新設した。カレーライスやみそ汁の提供も行い、おにぎりに使っている米の販売もしている。
木村さんは「塩沢で作られたおいしい米が、手頃な値段で食べることができる。おにぎりをきっかけに、いろんな米を味わってもらいたい」と話した。