ジュノハートってどんなさくらんぼ?
青森県が24年の歳月をかけて開発・育成を行った、渾身のさくらんぼ「ジュノハート」。もともとこの地域では、昔からりんご畑の防風林として、さくらんぼの木が植えられていました。さくらんぼは観光農園としても人気があり、地域を代表する果物として、栽培が進んでいった歴史があります。
平成の時代になり、県の研究員が「収穫時期に労力が集中するため、主力品種の佐藤錦と別のタイミングで収穫できる青森県独自の大玉品種を」と一念発起し、さくらんぼの品種改良に力を注ぎました。
そして、平成10年(1998年)に交配した中に、のちのジュノハートとなる一粒の種子がありました。大きなハート形のさくらんぼの誕生です。
数年後、成長して実をつけた一本の木。今までにない際立つ甘さ、程よい硬さと果汁に大きな可能性を感じたそうです。
その後も作業を続け、大規模な山火事で一時は消滅の危機に見舞われそうになりましたが、運良く逃れることができたそう。そんな「幸運の果実」である「ジュノハート」は、平成25年(2013年)に品種登録されました。家庭の幸福をつかさどるローマ神話の女神 「Juno」と、ハート型の果実を組み合わせて「ジュノハート」と名付けられました。
南部町は果物栽培に適した地域
〈沼畑総合ファーム〉では、チャレンジャーの父親が、品種登録される前の現地試験として苗木を植えたことが、ジュノハートを栽培するきっかけでした。もう15年以上前のことだそうです。畑のある南部町は、気候風土が果樹栽培に適しているといわれています。水はけのいい扇状地で、雪は少ないが昼夜の寒暖差が大きく、果物の甘みがぐっと引き出されます。
「果樹全体に言えることですが、大変なのは霜の害。さくらんぼは特に弱いんです。その時期になると夜はストーブみたいなものを燃やして畑を温めたりします。毎日見回らないといけないので、手間はかかりますね」
果樹栽培はきめ細やかな気配りが大切。さくらんぼは気候変動に左右されやすく、収穫量も時として不安定になります。風が吹いたら、雨が降ったら、寒かったら。いつも畑の様子を丁寧に気遣い、やらなければいけない基本をきちんと実直にやることが、おいしい果物を育てる1番の秘訣だと沼畑さんはいいます。
水はけの良い土壌のため、水の管理も重要です。〈沼畑総合ファーム〉では畑に井戸を掘り、ポンプで井戸水を汲み上げて撒くことで、畑を乾燥させないよう気を使っています。南部町は、周囲に湧き水や清流、滝などがあり、きれいな水の流れる地域。「水の力が果物のおいしさにも反映されているんじゃないかな」
「見た目の大きさのインパクトはもちろん、ハートの形に心がときめくさくらんぼだと思います。食べる以上に魅せられるところがあります。よくさくらんぼの王様といわれる佐藤錦と比べられることも多いのですが、ジュノハートはそれ以上の大きさがあり、甘さは上品でジュージー。満足度が高く食べごたえがあります」
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