りんごの栽培技術を生かした「津軽の桃」

出典:青森のうまいものたち

 

 りんごの一大産地として知られる青森県津軽地方で栽培されている「津軽の桃」。寒暖差のある気候と、りんごの栽培技術を生かして作られているのが特徴です。口いっぱいに広がるジューシーな甘味と、程よくしまった果肉で日持ちもすることから人気を集めています。

「現在、生産者は約90名。栽培面積も年々増加し、特に20~30代の若い世代の生産者が増えているのが特徴です。2016年には、地域団体商標を取得しました」と、佐々木さん。試行錯誤しながら桃の栽培に取り組みを始めてから約20年。今や「津軽の桃」は、津軽地方を代表するブランド果実として定着し、多くのファンを魅了しています。

デリケートな桃を傷つけないよう
きめ細かく管理

 平川市唐竹地区で、りんごと「津軽の桃」の栽培を行っている佐藤徳樹さんは、3代目農家。「父は、この地で桃の栽培に取り組んだ初期メンバーの1人ですが、長年、津軽のりんご農家たちが培ってきた剪定や実すぐり、袋かけ、畑に反射シートを敷き詰め、果実のお尻の方まで着色させるなどりんご栽培のノウハウが、桃の栽培に生かされていると感じます」と、語ります。

 津軽の桃」の栽培においては、幹を斜めに仕立てる「斜立主幹形」という方法を採り入れている生産者も多く、佐藤さんもその1人。樹高を抑えることで作業効率を高められるだけでなく、樹冠内部まで太陽の光を取り込めるメリットがあるといいます。
 また、佐藤さんは、太陽の光がまんべんなく当たるよう果実まわりの葉を摘む際も、葉の半分だけ手でちぎり取り、光合成のために必要な葉はあえて残しています。樹形や日の当たり方を細かく観察しながら、丹精込めて丁寧に育てています。

「桃がりんごと大きく違うのは、なんといっても果皮のデリケートさ。そのため、収穫時も傷つけないようにとても気を遣います」と、佐藤さん。収穫時は、手かごの中で下になった桃が重みでつぶれないようにするため、りんごのように重ねることはしません。また、運搬車の振動で桃を傷つけないように、運搬車は使わずに、園地内を何度も往復しながら人力で運ぶのだといいます。

8月上旬~10月上旬まで、2カ月間味わえる「津軽の桃」

 「津軽の桃」は、平年であれば8月上旬の「夏かんろ」、「あまとう」から始まり、8月中旬には「あかつき」、8月下旬には「おどろき」、9月上旬には主力品種である「川中島白桃」、9月下旬には「だて白桃」と、10月上旬まで出荷が続きます。
 今年度は温暖化傾向の為か1週間程度は早めの出荷になる予想です。
 なかでも、「津軽の桃」の主力品種「川中島白桃」は、300~350グラムと大玉で、全体的に濃い紅色、果汁たっぷりで甘みが強いのが特徴です。また、果肉はやや硬めで食感が良く、日持ちにも優れています。

 JA津軽みらいでは、出荷する際「光糖度センサー」でサイズ・糖度・色の付き具合を計測し、糖度11以上のものだけを「津軽の桃」として出荷しています。
本州最北端の冷涼な気候により、他県産の桃の出荷が終わったころに出荷できることも強みで、市場からの引き合いも高まっています。