高密植リンゴ初収穫「品質良好」/弘果総研

出典:Web東奥

2023年に定植し、今秋、初の収穫を
迎えた高密植栽培で育てたリンゴ

 

 収穫量アップや省力化が見込めるリンゴの栽培方法「高密植栽培」を研究している青森県弘前市の弘果総合研究開発(葛西憲之社長)は2日、弘前市小沢にあるモデル園地で、2023年に定植した苗木230本に成った実の収穫作業を初めて行った。葛西社長は収穫量、糖度とも「順調」と語った。

  高密植栽培はコンパクトな木を狭い間隔で数多く植え、壁のように仕立てるのが特徴。10アール当たりの本数は約300本で、普通栽培の約15倍、わい化栽培の約3倍に相当する。定植した翌年から収穫できる点も強みとされる。

 5ヘクタールのモデル園地のうち7.5アールには、赤い実をつけた早生種「つがる」の木が生け垣のように並んだ。収穫作業はスムーズに進み、社員ら6人は約8割に当たる手かご22個分のリンゴを30分ほどで収穫した。今年の収穫量は約0.7トン(10アール換算)で、5年後には6トン(同)を目指す。

 収穫後の計測では糖度が13.5(基準値12)、実の硬さを示す硬度は15.5(同13~16)で品質は良好。葛西社長は「目標数量に近い数を収穫できた。来年、再来年と収穫量は伸びていく。作業効率や品質などのデータを取り、稼げる農業を示していきたい」と話した。

高密植栽培

 専用の苗木で育てた細長いリンゴ樹を高い密度で植える栽培法。本数は0.1ヘクタール当たり250本以上と、青森県で多い普通栽培の6倍以上になる。面積当たりの収穫量は県平均の約3倍。イタリアやニュージーランド、アメリカなど世界の主要な産地に広がっている。初期費用の高さなどから、青森県ではリンゴ農地1万9500ヘクタールのうち高密植園は約40ヘクタール(2023年末)にとどまる。