出典:読売オンライン
県内の梨どころのひとつ船橋市で、ブドウの高級品種「シャインマスカット」を栽培する梨農家が増えている。近年の気温上昇の影響で、梨品種の一部は栽培が難しくなっており、梨よりも夏の日差しに強いとされるブドウに活路を求めた。生産者たちは「新たな名産品に」と意気込んでいる。(芝田裕一)
シャインマスカットは上品な甘みで種がなく、皮ごと食べられることが特徴だ。JAいちかわによると、船橋市内の梨農家約100軒のうち、約30軒がシャインマスカットも栽培している。
「シャインマスカットのメリットは、梨棚をそのまま利用できることだ」と話すのは、市内で梨園を経営する加納昌弘さん(47)だ。
加納さんは、2017年に若手生産者らと「船橋ぶどうの会」を結成。ブドウ栽培の盛んな山梨県へ視察に行ったり、ブドウに合った農薬散布や果粒数調整作業などの講習会を開いたりして、栽培方法の勉強を重ねた。
「山梨や岡山に負けないおいしいシャインマスカットを収穫できるようになった」と胸を張る。現在は、高温障害の出やすい梨品種「新高」の栽培をやめ、梨園の面積の約2割をシャインマスカットに充てている。
今月10日には、市内で初めてシャインマスカットの品評会が開かれ、12人の生産者が出品した。グランプリに選ばれた斎藤英隆さん(34)は、就農10年目で、8年ほど前に父親が植えた苗木を大切に育ててきたという。受賞を喜びつつ、「仲間と情報交換をし合い、来年はもっとよいブドウを育てたい」と力を込めた。
加納さんによると、船橋のシャインマスカットは大粒で糖度が高いのが特徴という。 秘訣ひけつ は「徹底した栽培管理」。「品質の高い果実になるように、適切な土壌管理や日照管理を心がけている」と自信をみせる。
シャインマスカットは船橋の新たな名産品になるのか。JAいちかわ船橋経済センター長の笠井弘幸さん(51)は「形も糖度も本場に負けないシャインマスカットが船橋にあることを広く知ってもらえるように、PRを考えたい」と話している。