透水性、通気性もよくなる
ちょっとした田舎に暮らしていれば、モウソウチクやマダケの竹林はおそらくどこかしら近くにある。多くは半ば放置された竹やぶで、地主に竹が欲しいといえば大抵は切らせてくれる。
わが家ではそうやって手に入れた竹を、しばしば暮らしに利用している。稈が太いモウソウチクやマダケは加工にぴったりだ。竹を半分に割って作る流しそうめんは夏の定番だし、物干しざおも竹を使っている。暗渠(あんきょ)や土留め、踏み込み温床や堆肥(たいひ)の枠作りなど、畑で利用することも多い。それから、土壌改良に炭が効くというのを知って、最近は竹炭作りにハマっている。
竹炭をはじめ、木炭やもみ殻くん炭など、“炭”が土壌改良や作物の生育に役立つことは古くから知られている。炭は多くの微細な穴を持つ多孔質構造をしている。竹炭の穴の径は木炭より微細で、炭化温度にもよるが竹炭1グラム(手の指先くらいの大きさ)の内部の穴の表面積を合わせると300~700平方メートルにもなるそうだ。300平方メートルは小学校の25メートルプールくらいの広さである。
その穴は細菌や糸状菌、放線菌といった微生物が増殖するのに好適な環境なので、畑に施用すれば土壌を豊かにしてくれる。穴の大きさは1000分の1ミリ単位のものから10分の1ミリ単位のものまで大小さまざまで、微細な穴に微生物がすみ着く一方で、大きな穴(といっても10分の1ミリ)は空気や水をよく通し、通気性や透水性といった土壌の機能を改善する。
竹や木などの有機物を燃やすと、そのあとには無機質が主体の燃えカスである灰が残る。灰の主要元素はカリウムやカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、鉄などで、いずれも植物の生育に必要なミネラルである。その成分は不完全燃焼によってできる炭にも含まれている。竹炭の場合、特にカリウムとケイ酸が多いのが特徴だ。
ホウレンソウの有機栽培で元肥施用時に1アールあたり100キロの竹炭を施用したところ、無施用の圃場(ほじょう)に比べて18~67%(栽培時期による)の増収が見られたというのである。
真面目に本格的な炭を焼くには、巨大な炭窯で数日にわたる炭焼きが必要だが、畑に施用する竹炭にそんな立派な炭は必要ない。竹がそのままの形で黒く炭化した美しい竹炭よりも、むしろ細かく砕けた柔らかい炭のほうが畑に施用しやすいからだ。そういう炭は切り出した竹を山積みにして、たき火のように野焼きすれば簡単に作れる。竹が適当に燃えたところで、水をかけて消火するだけ。要は消し炭なのだが、それが畑の土壌改良には最適なのだ。
この竹の消し炭は「ポーラス竹炭」と呼ばれ、炭窯やドラム缶を使った従来の炭焼きに比べてずっと短い時間で簡単に作れる上に、切った竹をすぐに処理できるので、竹林を整備するにもうってつけだ。ちなみにポーラス(porous)とは多孔質という意味の英語である。
切り出した竹は、葉が枯れて自然に落ちるまでしばらく置いておくと水分が抜けて燃えやすくなる。水分を含んだ切ったばかりの竹を燃やす場合は、火が勢いよく燃えだしてから投入するとよい。
竹を燃やすとしばしばはぜて、文字通り爆竹と同じパーンという大きな音がする。これは節の中に閉じ込められた空気が熱で膨張し、それによって竹が割れる音だ。節を抜くか、節ごとに穴をあけて空気の逃げ道を作っておけば音はならないが、手間がかかるので音が気にならなければそのまま燃やしてしまってもよい。
全体が黒く炭化し、炎が落ち着いて中心だけ赤く燃えている状態になったら水をかけて消火。竹が燃える温度は800℃にもなり、ちょっと水をかけただけでは火は消えない。レーキで炭を広げながら白い煙が出なくなるまでまんべんなく水をかける。
近年、放置竹林が問題になっているが、整備するにしても切った竹の処理に困ることが多い。それを解決するひとつの選択肢として「ポーラス竹炭」はおすすめだ。大量の竹を短時間で処理できて、畑の土壌改良にも役立つのである。
古来、竹林は、大切に管理、整備されてきた資源の宝庫。そのことをもう一度見直して、上手に利用していきたいものである。
出典:マイナビ農業

